安全灯(読み)アンゼントウ(英語表記)safety lamp

翻訳|safety lamp

デジタル大辞泉 「安全灯」の意味・読み・例文・類語

あんぜん‐とう【安全灯】

炭坑などで、爆発ガスに引火しないように工夫された灯火装置。ランプの炎を目の細かい金網の筒で覆い、腰ガラスをつけたもの。

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精選版 日本国語大辞典 「安全灯」の意味・読み・例文・類語

あんぜん‐とう【安全灯】

  1. 〘 名詞 〙 炭鉱などの坑内で、爆発性ガスに引火しないようにくふうされたランプ。一八一五年、イギリス人デービー発明。ランプの炎を金網でおおい、熱を急速に吸収・発散させるもの。デービーランプ。
    1. [初出の実例]「此安全灯を以て石炭坑に入れば」(出典:小学化学書(1874)〈文部省〉二)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「安全灯」の意味・わかりやすい解説

安全灯
あんぜんとう
safety lamp

爆発性のメタンガスが存在する炭鉱の坑内で使用する照明具。蓄電池を腰に携帯し、安全帽に灯部を装着するキャップランプ形安全電灯は電気的、物理的にメタンガスに着火しないように作られていて、明治後期に輸入されて普及、1933年(昭和8)ごろから国産化された。それ以前は揮発油安全灯が使用された。19世紀の初期、イギリスの炭鉱では坑内照明具が着火源となってガス爆発が多発して困っていた。イギリスの化学者デービーはガスの炎の上に目の細かい金網をかざすと、たとえ金網より上に燃焼性のガスが存在していても、網を通してこれに着火することはないという現象を観察し、これに基づいて1815年に、揮発油の炎を金網の筒で包んだ安全灯を発明した。同じころデービーとは独立にクラニーW. R. ClannyやスティーブンソンG. Stephensonらも同様な原理の安全灯を発明した。デービー灯は金網だけを用いていたので照明具としては暗く不十分であったが、クラニー灯は腰ガラスと金網からなり照明具として優れていた。のちにこれをドイツのウルフ社が改良し日本にも導入され、ウルフ灯は安全灯の代名詞のようになった。メタンガスが安全灯の灯内に入ると、ガスの濃度に比例して炎が伸びるので、炎の長さを測ってガス濃度を知ることができる。安全灯は現在照明具としては使用されていないが、簡易可燃性ガス検知器として認められている。

[房村信雄]


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改訂新版 世界大百科事典 「安全灯」の意味・わかりやすい解説

安全灯 (あんぜんとう)
safety lamp

炭鉱の坑内で照明に用いられる灯で,メタンガス爆発に対して安全な構造になっているもの。以前は揮発油を燃料とするウルフ安全灯を用いていたが,現在では電気安全灯が広く用いられ,日本では,軽便で光力が強く,つねに顔の向く方向が照らされるので作業上便利なキャップランプcap lamp(帽上電灯)が広く普及している。ウルフ安全灯は,ドイツのウルフC.Wulfによって1883年に考案されたもので,灯内部での燃焼によって発生した熱が,周囲に設けられた金網を通る際に奪われて,外気流の着火温度以下になるように設計されている。キャップランプの主要部分は,小型電球反射鏡を備えた頭部と蓄電池部とからなる。使用するときは頭部を保安帽前部に取り付け,蓄電池部をベルトで腰に固定するので両手が自由に使える。最近では,金属鉱山やトンネル掘削作業等においても使用されている。
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百科事典マイペディア 「安全灯」の意味・わかりやすい解説

安全灯【あんぜんとう】

炭鉱の坑内用灯火。坑内で発生したメタンガスが引火しないよう防爆形の工夫がされており,揮発油安全灯と電気安全灯がある。前者は手さげ形で揮発油の燃焼炎光を利用,現在はガス検定用に一部使用されるだけ。後者はキャップランプが普通で,小型電球・反射鏡よりなる頭部と蓄電池からなり,頭部を保安帽上に装着,これとコードで結ばれた蓄電池を腰につるす。照度大,両手が自由などの利点から金属鉱山・地下土木工事も含め広く使用されている。なお,キャップランプに蓄電池を収納した改良型のものが一般のアウトドア用照明器具として釣り,登山などに普及している。
→関連項目カンテラ

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「安全灯」の意味・わかりやすい解説

安全灯
あんぜんとう
safety lamp

炭鉱など爆発性ガスのあるところで,爆発を防ぐために用いる照明装置。灯油,揮発油などのランプを金属製の網で包んだ炎式安全灯と,電池を使用する電気式安全灯の2種がある。前者は炎の長さの変化によって,坑内のメタンガスの濃度測定ができるが,最近はほとんど使用されなくなった。

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