安川敬一郎(読み)ヤスカワ ケイイチロウ

20世紀日本人名事典 「安川敬一郎」の解説

安川 敬一郎
ヤスカワ ケイイチロウ

明治・大正期の実業家,男爵 安川財閥創立者;明治鉱業創立者;貴院議員。



生年
嘉永2年4月17日(1849年)

没年
昭和9(1934)年11月30日

出生地
筑前戸畑(福岡県北九州市)

旧姓(旧名)
徳永

学歴〔年〕
慶応義塾中退

主な受賞名〔年〕
勲三等瑞宝章

経歴
元治元年黒田藩士の徳永家より安川家の養子となる。京都、静岡、東京へ留学後、明治7年帰郷、石炭販売業を営んでいるうちに新炭鉱の権利を得、22年赤池炭鉱を経営。26年若松築港会社社長。41年明治鉱業を設立し社長に就任。他方で39年大阪織物、42年明治紡績、大正4年安川電機製作所、6年九州製鋼、9年黒崎窯業と、安川財閥と呼ばれる諸会社を設立した。この間筑豊工業組合、若松石炭商組合の各組合長を歴任。同じ炭鉱業の貝島、麻生家とともに“筑豊御三家”と呼ばれた。また明治40年明治専門学校(現・九州工業大学)を創立し、教育事業にも力を尽した。大正9年男爵、13年貴院議員となる。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「安川敬一郎」の意味・わかりやすい解説

安川敬一郎
やすかわけいいちろう

[生]嘉永2 (1849).4.17. 筑前
[没]1934.11.30. 東京
明治・大正期の実業家。福岡藩士徳永省易の四男に生まれ,16歳で安川岡右衛門の養子となった。藩執政局に奉職し,西郷隆盛勝海舟山岡鉄舟らの教えを受けた。1872年に慶應義塾に入ったが,1874年に中退して帰郷し,同族の松本潜らの炭田開拓を補佐した。相田炭田の開発に成功し,1887年に大城鉱区を買収,日清戦争勃発に伴う炭価暴騰で巨利を得た。九州の商工振興に努力し,筑豊鉄道,若松築港,九州製鋼,九州生命保険などの重役となり,若松米穀取引所を創立して理事長に就任。1908年,明治炭鉱,赤池炭鉱,豊国炭鉱を合併し明治鉱業株式合資会社を設立,また朝鮮,中国の鉱山開発にも進出した。さらに大阪織物,明治紡績,安川電機製作所(→安川電機),黒崎窯業など多数の会社の設立や経営に関与。また教育にも尽力し,1907年に明治専門学校(→九州工業大学)を創立,九州大学設立の際も多額の寄付をした。1914年衆議院議員当選,1924年貴族院議員勅選。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「安川敬一郎」の意味・わかりやすい解説

安川敬一郎
やすかわけいいちろう
(1849―1934)

実業家、炭鉱企業家。嘉永(かえい)2年4月17日、福岡藩士徳永貞七(省易)の四男として筑前(ちくぜん)(福岡県)戸畑(とばた)に生まれ、1864年(元治1)安川家の養嗣子(ようしし)となる。幼名藤四郎。号は撫松。慶応義塾中退後、次兄松本潜に従い炭坑経営に着手。士族の商法といわれたが、1877年(明治10)石炭販売の安川商店設立、1896年共同出資の明治炭坑株式会社設立(1902年解散)、1899年納屋制度の廃止など、次々と新機軸を打ち出して成功。1908年(明治41)には明治鉱業株式合資会社を設立(1919年株式会社に改組)して社長となった。赤池、明治、豊国などの有力鉱を経営、筑豊御三家と称された。ほかに大阪織物、明治紡績、九州製鋼、黒崎窯業などの会社を設立。また、筑豊鉱業組合、若松石炭商組合、門司(もじ)石炭商組合の各組合長を歴任したほか、教育にも力を注ぎ、1907年私立明治専門学校(九州工業大学の前身)を創立した。超国家主義団体の玄洋社社員でもあった。昭和9年11月30日没。

[畠山秀樹]

『松本健次郎編・刊『撫松余韻』(1935)』『明治鉱業株式会社社史編纂委員会編・刊『社史 明治鉱業株式会社』(1957)』


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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「安川敬一郎」の解説

安川敬一郎 やすかわ-けいいちろう

1849-1934 明治-大正時代の実業家。
嘉永(かえい)2年4月17日生まれ。慶応義塾を中退後,養家の炭鉱業をつぐ。明治41年明治鉱業を創立。大正4年安川電機製作所(現安川電機)を設立した。明治専門学校(現九州工業大)を創立する。大正3年衆議院議員。貴族院議員。昭和9年11月30日死去。86歳。筑前(ちくぜん)(福岡県)出身本姓は徳永。号は撫松。

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367日誕生日大事典 「安川敬一郎」の解説

安川 敬一郎 (やすかわ けいいちろう)

生年月日:1849年4月17日
明治時代;大正時代の実業家
1934年没

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