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社史 シャシ

デジタル大辞泉の解説

しゃ‐し【社史】

その会社歴史。また、それを記したもの。「社史を編纂(へんさん)する」

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大辞林 第三版の解説

しゃし【社史】

会社が自ら編纂する、その会社の歴史。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

社史
しゃし

会社が自らの責任において発行しているその会社の歴史書。会社創立何十周年や100周年などを記念して発行されることが多い。本格的なものはB5判数百ページ、ときには1000ページを超す大冊のものもあり、一般経済・業界動向とともにその会社の歴史を叙述した本文のほかに、カラーの口絵写真、統計・資料、年表、役員任期表なども付されている。社内に保存されていた内部資料を用いて客観的、体系的に叙述されている社史は、学術的歴史書としても高い評価を受け、経営史、経済史の研究史料や教育テキストとして利用されており、また発行企業の社員教育や社外PRの手段としても有効性が認められている。さらに、読みやすさをねらったハンディな社史、写真や図表を多用した見せる社史、工場史やマーケティング史など会社の特定の分野に重点を置いたもの、経営者伝記としての性格の濃い社史など企画をくふうした社史もある。[中村清司]

沿革

日本では、すでに明治期から社史が刊行されているが、とくに昭和30年代以降、社史の刊行が活発になり、1983年(昭和58)3月までに約6200点の社史が発行されている。近代的会社企業の社史としてきわめて早くに発行されたものに、上毛繭糸改良会社の『沿革誌』(明治24年=1891)、『三井銀行案内』(明治28年)、第五国立銀行の『沿革事誌』(明治29年)や南海電気鉄道の前身の『阪堺(はんかい)鉄道経歴史』(明治32年)などがあり、明治40年代になると、銀行、鉄道のほか印刷、ガス、紡績などの社史も現れている。また大正期には、製品のPRを兼ねた大日本人造肥料の『創業三十年記念誌』(大正6年=1917)や、内部資料を豊富に載せた詳細な『大阪電燈(でんとう)株式会社沿革史』(大正14年)がある。
 昭和に入ると創立50周年を迎える企業が相次ぎ、五十年史の刊行が続いた。もっとも早いのは、小野田セメント(現太平洋セメント)製造の『創業五十年史』(昭和6年=1931)で、『大阪商船株式会社五十年史』(昭和9年)、『日本郵船株式会社五十年史』(昭和10年)、『東京電燈開業五十年史』(昭和11年)、『東京電気株式会社五十年史』(昭和15年)などが続いた。とくに、小林良正(りょうせい)(1898―1975)、服部之総(はっとりしそう)(1901―56)という歴史学者によって執筆された『花王石鹸(せっけん)五十年史』(昭和15年)は、せっけん産業の展開とあわせて欧米での発達史も含め、アカデミックな内容をもち、社史の声価を高めた。そしてこの昭和初期の五十年史ブームの時期に、B5判数百ページという現在の社史のスタイルが固まり、内容も充実した。[中村清司]
戦後の社史
第二次世界大戦後、昭和30年代以降、社史の刊行は年ごとに活発になり、銀行史の古典となった『三井銀行八十年史』(昭和32年=1957)、創業者伝記として感銘を与えた大同毛織の『糸ひとすじ』(昭和35年)、広告活動に重点を置き読ませる社史として成功した『やってみなはれ・みとくんなはれ――サントリーの70年』(昭和44年)、優れたマーケティング史を展開したトヨタ自動車販売の『モータリゼーションとともに』(昭和45年)など多彩な社史が発行されるようになった。さらに昭和50年代には、明治初期創業の会社の百年史が相次ぐ一方、戦後生まれの会社の社史も数多く登場し、毎年100点前後の社史が発行されている。そうしたなかで、長い歴史をもつ大企業や大銀行で10年ごとに社史を編纂(へんさん)しているところも少なくなく、また中堅企業や地方企業でも社史を出すところが増えている。
 この間、アメリカの影響を受けてわが国でも経営学や経営史学の研究が盛んになり、また日本経営史研究所(東京都千代田区)が設立され、専門研究者が社史を執筆するケースが多くなったが、1978年から「優秀会社史」の選考と表彰が行われていることも刺激となり、社史に対する関心と社史の水準が近年とみに高まっている。[中村清司]

アメリカの社史

欧米諸国においても社史の編纂、刊行は早くから行われている。とくにアメリカでは、第二次世界大戦前から、ハーバード大学などで経営史学の教育、研究に社史が利用されており、専門研究者によって執筆され市販されている社史が多い。そうした社史のなかで、1950年代に刊行されたT・R・ネービンの『ホワィティン機械製作所史』The Whitin Machine Works since 1831(1950)、G・S・ギブの『サコ・ロウェル社史』The Saco-Lowell Shops, 1813―1949(1950)、A・ネービンの『フォード』Ford ; expansion and challenge, 1915―1933(1954)、ハイディ夫妻の『スタンダード石油史』History of Standard Oil Company (New Jersey)(1955)などが、今日でも高い評価を得ている。[中村清司]
『日本経営史研究所編・刊『「会社史」入門』(1984) ▽日本経営史研究所編・刊『会社史総合目録』増補・改訂版(1996)』

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