コトバンクはYahoo!辞書と技術提携しています。

宮増 みやます

デジタル版 日本人名大辞典+Plusの解説

宮増 みやます

?-? 室町時代の能役者,能作者。
観世(かんぜ)系の記録「能本作者註文」に10曲,金春(こんぱる)系「自家伝抄」に28曲の作品がみえるが,確証はない。ワキの上手とつたえられ,文明10年(1478)ごろ活動した大和猿楽系の宮増大夫と同一人物とも,観世座の伝説的鼓の名手宮増五郎と同一人物ともみられている。

出典|講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて | 情報 凡例

世界大百科事典 第2版の解説

みやます【宮増】

室町後期ころの伝説的能作者。生没年不詳。作者別分類の謡名寄(うたいなよせ)である《能本作者注文》(1524年奥書。観世座系)に10曲,同じく《自家伝抄》(1516年奥書。金春座系)に28曲の能の作者として記載するが,両書で曲名が共通するのは《元服曾我》《調伏曾我》の2曲のみで,両説の信憑(しんぴよう)性には疑問が多い。とくに《自家伝抄》の作者説はほとんど信ずるにたりないものであり,《能本作者注文》も宮増に関する記事は必ずしも万全ではないであろうから,いずれにせよこれらに基づき宮増の作風を論ずるのは慎重を要する。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

宮増
みやます

生没年不詳。室町初期の能役者、また能の作者。永享(えいきょう)(1429~41)ころの人とされるが、多くは不明。室町中期から後期にかけて、その一座は大和猿楽(やまとさるがく)の系列に併合されたらしく、宮増を名のる役者が多い。異色の脇能(わきのう)『氷室(ひむろ)』、源義経(よしつね)関係の『鞍馬天狗(くらまてんぐ)』『烏帽子折(えぼしおり)』『摂待(せったい)』、曽我(そが)兄弟の『調伏(ちょうぶく)曽我』『夜討(ようち)曽我』がその作品とされ、また国生み神話の『逆矛(さかほこ)』、中世風俗をそのまま描いた『放下僧(ほうかぞう)』、曽我物系列の『元服(げんぷく)曽我』『小袖(こそで)曽我』の作者とも考えられている。民衆の英雄を取り上げ、また地方色豊かな能を得意とした能作者であり、世阿弥(ぜあみ)系列の幽玄能とは別の主張をもっていたことがわかる。[増田正造]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

世界大百科事典内の宮増の言及

【烏帽子折】より

…現在物。宮増(みやます)作。前ジテは烏帽子折。…

【鞍馬天狗】より

五番目物宮増(みやます)作。シテは大天狗。…

【元服曾我】より

現在物宮増(みやます)作。シテは曾我十郎。…

【能】より

…次にその例を挙げるが,この中には,作者について多少の疑問を残しているものや,後に改作されて現在に伝えられていることの明らかなものも含めてある。 (1)観阿弥 《松風》《通小町(かよいこまち)》《卒都婆小町(そとばこまち)》《自然居士(じねんこじ)》,(2)世阿弥 《老松(おいまつ)》《高砂(たかさご)》《弓八幡(ゆみやわた)》《敦盛》《忠度》《清経》《頼政》《実盛》《井筒》《檜垣(ひがき)》《西行桜》《融(とおる)》《鵺(ぬえ)》《恋重荷(こいのおもに)》《砧(きぬた)》《班女(はんじよ)》《花筐(はながたみ)》,(3)観世元雅 《隅田川》《歌占(うたうら)》《弱法師(よろぼし)》《盛久》,(4)金春禅竹 《芭蕉》《定家(ていか)》《玉葛(たまかずら)》《雨月(うげつ)》,(5)宮増(みやます) 《鞍馬天狗》《夜討曾我》,(6)観世信光 《遊行柳(ゆぎようやなぎ)》,《鐘巻(かねまき)》(《道成寺》の原作),《紅葉狩》《船弁慶》《羅生門》《安宅(あたか)》,(7)金春禅鳳 《嵐山(あらしやま)》《一角仙人》,(8)観世長俊 《大社(おおやしろ)》《正尊(しようぞん)》。
【曲籍】
 一日の公演に演ずる能の数は,南北朝時代までは4~5演目にすぎなかったが,その後増加の道をたどり,室町時代中期から桃山時代にかけては7番から12番ぐらいの例が多く,一日17番という例さえ見られる。…

【放下僧】より

…作者不明。宮増(みやます)作ともいう。シテは牧野小次郎の兄。…

【満仲】より

…作者不明。宮増(みやます)作ともいう。シテは藤原仲光。…

※「宮増」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社日立ソリューションズ・クリエイト世界大百科事典 第2版について | 情報

宮増の関連キーワード烏帽子折り・烏帽子折夜討曽我・夜討曾我鞍馬天狗(能)諏訪頼重(2)ファジル・ゲビ観世 権九郎大江山(能)敷村 鉄雄接待・摂待八帖花伝書宮増 豊好宮増親賢酒呑童子おとない小袖曾我小袖曽我増田正造室町時代烏帽子折夜討曽我

今日のキーワード

処暑

二十四節気の一つ。元来,太陰太陽暦の7月中 (7月後半) のことで,太陽の黄経が 150°に達した日 (太陽暦の8月 23日か 24日) に始り,白露 (9月8日か9日) の前日までの約 15日間であ...

続きを読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android

宮増の関連情報