竹本(読み)たけもと

日本大百科全書(ニッポニカ)「竹本」の解説

竹本
たけもと

歌舞伎(かぶき)劇で演奏される義太夫(ぎだゆう)節、および歌舞伎専門の義太夫節演奏者のこと。舞台上手(かみて)(観客席から見て右側)の上部に設けられた御簾内(みすうち)、または特設の床(ゆか)で演奏する。義太夫狂言では原則として浄瑠璃(じょうるり)の詞章のうち、台詞(せりふ)の大部分を俳優に任せ、地の文章と台詞のなかで節(ふし)のついた部分を受け持つが、俳優の動きに応じて適宜編曲することも多いので、専門の職種となった。そのため、人形浄瑠璃専門の太夫・三味線より低くみられ、「ちょぼ」(語源は太夫が自分の受け持つ箇所にちょぼちょぼと点を打ったからというが、確証はない)といわれ蔑視(べっし)されたが、近年は歌舞伎における義太夫狂言の重要性からその存在が重視され、国立劇場では1975年(昭和50)から後継者養成を行っている。

[松井俊諭]

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デジタル大辞泉「竹本」の解説

たけもと【竹本】

姓氏の一。
竹本義太夫に始まる、浄瑠璃義太夫節)の太夫家名。また、歌舞伎の伴奏音楽としての義太夫節の通称。
[補説]「竹本」姓の人物
竹本義太夫(たけもとぎだゆう)
竹本越路太夫(たけもとこしじだゆう)
竹本摂津大掾(たけもとせっつだいじょう)
竹本筑後掾(たけもとちくごのじょう)

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世界大百科事典 第2版「竹本」の解説

たけもと【竹本】

(1)邦楽用語。義太夫節別称,また歌舞伎専門の義太夫節演奏者の称。義太夫狂言(丸本物)では,浄瑠璃の詞章のうちで登場人物のせりふの部分は俳優が自分でしゃべり,地の文章と節のついた部分を竹本が受け持つのが原則である。竹本は舞台上手の上部に設けられた御簾(みす)内,もしくは特別に設けた床(ゆか)で演奏する。もともと人形のために作られた浄瑠璃は,そのままの曲節では人間の俳優の動きに適しない場合が多く,歌舞伎的に編曲したり,文章を加除したりするために専門の職種が生まれた。

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世界大百科事典内の竹本の言及

【歌舞伎】より

…黙阿弥の作品は,先輩の鶴屋南北の作風を受けながら,それとは質を異にする。黙阿弥は小団次との提携によって〈生世話〉の写生的作劇と演出をいっそう徹底させる一方,七五調の美しいせりふを朗々と歌い上げ,濡れ場,強請(ゆすり)場,責め場といった場面の描写を写生的に行う反面,清元の浄瑠璃や竹本の利用,さらには下座(げざ)音楽の多様化と頻用など,主情的な音楽劇風の演出を多用した点に特色がある。黙阿弥の作品には,市井の小悪党を英雄化して主人公としたものが多く,みずから〈白浪作者〉をもって任じていた。…

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