家庭事件および少年事件の処理に必要な調査などのために各家庭裁判所および各高等裁判所に置かれる職員。略して家裁調査官。
家庭事件については、家事審判および家事調停のために必要な事実調査を、事件の関係人の性格、経歴、生活状況、財産状態および家庭その他の環境等について、医学、心理学、社会学、経済学その他の専門的知識を活用して行う。その結果は、口頭または書面で裁判官に報告する。このほか、児童福祉機関と連絡をとって家庭環境調整(ケース・ワーク)を行い、さらに、多くの裁判所では家事相談や履行勧告の事務を行っている。家庭事件を担当するものをとくに家事係調査官という。
高等裁判所においては、家事審判に係る抗告審の審理および附帯処分等の裁判に係る控訴審の審理に必要な調査を掌る。
少年事件については、少年保護事件の審判に必要な調査を、少年、保護者または関係人の行状、経歴、素質、環境等について、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識とくに少年鑑別所の鑑別の結果を活用して行う。その結果は書面で裁判官に報告する。このほか、非行少年の発見報告、少年の観護・観察、少年または保護者に対する同行状の執行などの職務を行う。少年事件を担当するものをとくに少年係調査官という。以上いずれも、職務を行う際は裁判官の命令に従う。調査官の事務を補助するものとして家庭裁判所調査官補がある。
[本間義信]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
…このような家事相談の利用者の増加にともない,相談体制を充実すべきであるとの意見が家庭裁判所で実務にあたる人から強調されるようになった。当局は家庭裁判所書記官,家庭裁判所調査官が相談を担当できるようにするため家事審判規則の改正案を示したが(1956),在野法曹の意見により実現しなかった。現在家事相談は無料,簡単な手続でできることから利用者が多いにもかかわらず,法律上の根拠を直接もたず,相談担当者,その権限,相談の範囲は不明確なまま実施されており〈受付手続〉の〈付随的サービス〉と説明されている。…
※「家庭裁判所調査官」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
「歓喜の歌」の合唱で知られ、聴力をほぼ失ったベートーベンが晩年に完成させた最後の交響曲。第4楽章にある合唱は人生の苦悩と喜び、全人類の兄弟愛をたたえたシラーの詩が基で欧州連合(EU)の歌にも指定され...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新