少年鑑別所(読み)ショウネンカンベツショ

デジタル大辞泉 「少年鑑別所」の意味・読み・例文・類語

しょうねん‐かんべつしょ〔セウネン‐〕【少年鑑別所】

家庭裁判所から観護措置として送られる少年収容し、家庭裁判所が行う調査審判保護処分執行のため、医学心理学などの専門的知識に基づいて少年の資質鑑別を行う施設法務大臣の管理下にある。

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共同通信ニュース用語解説 「少年鑑別所」の解説

少年鑑別所

罪を犯した少年の審判手続きで、家裁の要請に応じ、なぜ非行に至ったかなどを分析し、処遇方針を示す「鑑別」を行う。職員は心理学や教育学社会学などの専門知識を持つ。2015年施行の少年鑑別所法で、子どもの非行や問題行動、不登校などの悩み相談に応じる「法務少年支援センター」の事業も担うようになり、学校や保護者らとの連携を深めている。

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精選版 日本国語大辞典 「少年鑑別所」の意味・読み・例文・類語

しょうねん‐かんべつしょセウネン‥【少年鑑別所】

  1. 〘 名詞 〙 家庭裁判所から観護措置として送られた少年を収容する施設。家庭裁判所が行なう少年に対する調査、審判や保護処分の執行などの参考とするために、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識に基づいて少年の資質の鑑別を行なう。〔少年院法(1948)〕

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「少年鑑別所」の意味・わかりやすい解説

少年鑑別所
しょうねんかんべつしょ

家庭裁判所の観護措置により送致された者を収容するなどして鑑別を行うほか、在所者に必要な観護処遇を行い、また地域社会における非行・犯罪の防止に関する援助を行う施設。ここでいう鑑別とは、家庭裁判所の行う少年に対する調査や審判、また保護処分の執行や懲役または禁錮の言渡しを受けた20歳未満の少年に対する刑の執行に資するため、医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識・技術に基づいて、対象者の非行・犯罪に影響を及ぼした資質上・環境上問題となる事情を明らかにし、またその事情の改善に寄与するため対象者の処遇に資する適切な指針を示すものであるとされる。鑑別には、家庭裁判所の求めに応じて行われる審判鑑別と、保護観察所や児童自立支援施設など、家庭裁判所以外の関係機関の求めに応じて行われる処遇鑑別とがある。

 このうち審判鑑別は、観護措置により少年鑑別所に収容されている者に対して行う収容審判鑑別と、収容されていない者に行う在宅審判鑑別とに分けられる。面接、生育・教育歴などの資料の調査、心理検査、精神および身体医学的診断、行動観察などにより、少年の問題性や改善可能性などが把握される。保護観察等の在宅保護、少年院送致等の収容保護などの判定を含む審判鑑別の結果は、家庭裁判所に送付され、審判の資料となる。審判の結果、保護観察や少年院送致の決定がなされた場合は、保護観察所や送致先の少年院に送付され、処遇の参考に供される。

 少年鑑別所は、保護処分として終局決定により送致される少年院とは異なる。収容期間は原則として2週間、最長8週間(犯罪少年による禁錮以上の刑にあたる罪の事件で一定の要件を満たした場合)で、成人の場合の勾留(こうりゅう)の機能も果たす。2015年(平成27)6月施行の少年鑑別所法(平成26年法律第59号)に基づく。かつては1948年(昭和23)に制定された旧少年院法(昭和23年法律第169号)に少年鑑別所に関する規定がわずかに置かれていたのみであったが、少年鑑別所の機能の進展、少年院と少年鑑別所の性格の相違等にかんがみ、2014年に独立した法律として少年鑑別所法が定められた。すべて国立の施設で、法務大臣の管理下にあり、2021年(令和3)4月1日の時点で、52庁(分所8庁を含む)を数える。なお、少年鑑別所では、「法務少年支援センター」といった名称のもとで、一般家庭や学校などから少年に関する相談や依頼を受けた場合に、必要な情報の提供、助言その他の援助も行っている。

[小西暁和 2022年6月22日]

『末永清著『少年鑑別所50年の歩み』(1999・矯正協会)』『法務省矯正局編『家族のきずなを考える――少年院・少年鑑別所の現場から』(1999・大蔵省印刷局)』『法務省矯正局編『新しい少年院法と少年鑑別所法』(2014・矯正協会)』『法務省矯正局編『子ども・若者が変わるとき――育ち・立ち直りを支え導く少年院・少年鑑別所の実践』(2018・矯正協会)』

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改訂新版 世界大百科事典 「少年鑑別所」の意味・わかりやすい解説

少年鑑別所 (しょうねんかんべつしょ)

非行少年を一時収容し,また資質の鑑別を行うための国の施設で,法務省に属する(少年院法16条,17条)。家庭裁判所が審判を行う必要上,少年に対する観護の措置をとった場合,その少年は少年鑑別所に送致され,収容される(少年法17条)。少年に対する鑑別は,医学,心理学,教育学,社会学等の専門知識を活用して行われ,その結果が調査,審判および保護処分の執行に至る各段階で利用される。少年鑑別所への収容は,観護の措置による場合のほかに,勾留に代わる措置として裁判官の発する令状によるもの(44条),勾留状によるもの(48条)等があるが,その適用数は少なく,観護の措置による収容がほぼ9割を占める(1981)。なお少年鑑別所は家庭裁判所から送致された少年だけでなく,少年院,保護観察所のほか一般家庭や学校から依頼を受けた少年に対しても鑑別を行っている(少年院法16条の2,いわゆる依頼鑑別)。観護の措置の場合の収容期間は,原則として2週間で,とくに必要があれば,1回に限り更新することもできる。少年鑑別所の数は,全国で53ヵ所,1日平均収容人員は約1300人(1994)である。収容された少年は,観護教官の指導により,運動,読書,娯楽等の日課に従い生活し,さらに個々の少年の特性に応じたカウンセリング,心理劇,集団討議等が行われ,これらの日課を通じての行動観察と,面接,心理検査,生活史・環境資料などに基づいて,少年の資質の鑑別調査が行われている。
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百科事典マイペディア 「少年鑑別所」の意味・わかりやすい解説

少年鑑別所【しょうねんかんべつしょ】

家庭裁判所の観護措置により送致された少年を収容し,審判保護処分の執行に資するため医学・心理学・教育学・社会学等に基づいて少年の資質を鑑別する施設。1949年少年法,少年院法の施行に伴い,法務省所管の国立施設として発足。収容期間は原則として2週間。少年の非行と資質の関連を究明して,矯正・教育のための科学的診断・鑑別を行う。全国に52,支所1(2003年)。
→関連項目小田晋

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「少年鑑別所」の意味・わかりやすい解説

少年鑑別所
しょうねんかんべつしょ

家庭裁判所の観護措置によって送致された少年を収容して,家庭裁判所のなすべき調査,審判,保護処分の執行に寄与する目的で,医学,心理学,教育学,社会学などの専門的知識を活用し,少年の資質を鑑別するための国家施設をいう (少年院法 16,17) 。少年鑑別所における鑑別は,少年法が目指す科学化の要請にこたえ,少年の素質,経歴,環境および人格を解明し,少年の矯正に関する最良の指針を与えることを目的としている。

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