デジタル大辞泉
「寄場」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
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よせ‐ば【寄場】
- 〘 名詞 〙
- ① 人の寄り集まる場所。人を寄せ集めて置く所。比喩的に用いて、同じような物事がしばしば行なわれる場所。
- [初出の実例]「北の方は所狭く竹藪茂りて寄場なきまま然るべき人数をば差向ぬ」(出典:関八州古戦録(1726)一八)
- ② 城内の控え室。控え場所。
- [初出の実例]「進物番之当番衆、登城又は御城退出以後、寄場え出可被申事」(出典:御当家令条‐二五・火事之節御供番寄場覚・寛文五年(1665)七月日)
- ③ 江戸城内で、城に延焼の危険がある場合に、火消役人その他のものが詰めていた場所。
- [初出の実例]「御供番之日火事出来之節、風下にて御城風上之者は宿に罷在、火をふせき、其上にて見合、寄場へ出可被申候」(出典:御当家令条‐二五・火事之節御供番寄場覚・寛文五年(1665)七月日)
- ④ 江戸時代、無宿(むしゅく)や放免された囚人で引取人のない者などを、人足として使役するため収容した場所。江戸石川島、その他に設けられた。人足寄場。
- [初出の実例]「此度厚き御仁恵を以、加役方人足に致し、寄場え遣し、銘々仕覚候手業を申付候」(出典:徳川禁令考‐後集・第一・巻二・寛政二年(1790)二月)
- ⑤ =よせ(寄)⑪
- [初出の実例]「近年町々素人家にて寄場と唱、見物人を集め、座料を取」(出典:御触書天保集成‐八一・天保二年(1831)一〇月)
- ⑥ 博徒(ばくと)の親分などの勢力範囲。その範囲内でとばくや営業を行なうには、必ず親分の許可をうけ、その収入の一部をこれに提供しなければならなかった。廻り場。縄張(なわばり)。
- [初出の実例]「近年在々浪人躰之者徘徊致し、頭分師匠分抔と唱、廻り場寄場と号し、銘々私に持場を定」(出典:徳川禁令考‐前集・第五・巻四四・天保一四年(1843)七月一四日)
- ⑦ 幕末、関八州取締りのため、十か村・二十か村が連合して結成した取締組合で、道案内などが、関八州取締出役と連絡をとるために寄り合った場所。組合の中心になるような宿・村が選ばれた。
- [初出の実例]「寄場に相成候宿村方に順を糺、村高に応じ甲乙無レ之様取計可レ申事」(出典:地方落穂集追加(1843‐45頃)五)
- ⑧ 江戸時代、深川遊里で、客の求めに応じ芸娼妓などを斡旋したところ。検番。
- [初出の実例]「妓家(こどもや)軒をつらねつつ、棟をならべて櫛の歯を、挽くにひとしき人出入、片ときたへぬ駒下踏の、音は会場(ヨセバ)にかしましき」(出典:洒落本・仕懸文庫(1791)三)
より‐ば【寄場】
- 〘 名詞 〙
- ① 江戸時代、米市の立つ場所。米市場。大坂堂島では、堂島新地二丁目(北区堂島浜一丁目)にあった。帳合米商、正米商、石建米商が行なわれた。
- [初出の実例]「茶店 寄場浜地東西に弐ケ所有る」(出典:稲の穂(1842‐幕末頃))
- ② 明治・大正期、正米(しょうまい)市場のこと。大阪の道住寄場、東神寄場、柳川寄場など。
- ③ 駕籠舁(かごか)きの集まっている所。
- [初出の実例]「帰りは寄場(ヨリバ)の煮売屋で、茶碗酒にぶっかけ豆腐」(出典:洒落本・風俗七遊談(1756)二)
- ④ 魚の寄ってくるところ。釣りのポイント。
- [初出の実例]「縦横に通じている水路が魚の寄り場になる」(出典:青べか物語(1960)〈山本周五郎〉芦の中の一夜)
- ⑤ ⇒よせば(寄場)
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例
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世界大百科事典(旧版)内の寄場の言及
【人足寄場】より
… 老中松平定信が,1780年(安永9)ごろ数年間のみ存在した南町奉行所の無宿養育所の先例などをヒントに,無宿収容施設の開設を発案し,これに対して火付盗賊改[長谷川平蔵]宣以(のぶため)がみずから実施を申し出,両者の間で具体案が練られたのち,平蔵が創設の業務にあたった。当初寄場に収容されたのは,まったく犯罪を犯したことのない無罪の無宿,および入墨などの刑を受けた前科のある無宿である。収容者には柿色の制服が着せられ,石灰・炭団(たどん)の製造,古紙再生などの手業(てわざ)や,川さらえ,精米その他の人夫的労働などがあてがわれた。…
※「寄場」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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