武士団(読み)ブシダン

デジタル大辞泉 「武士団」の意味・読み・例文・類語

ぶし‐だん【武士団】

武士集団。平安中期以後、荘園公領に分散していた武士は平氏源氏棟梁とうりょうに団結し、各地に武士団を形成した。はじめ血縁関係を核とした惣領制結合であったが、南北朝以後は地縁結合である一揆いっきが生成し、戦国期には大名の家臣団編成が進んで消滅した。

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精選版 日本国語大辞典 「武士団」の意味・読み・例文・類語

ぶし‐だん【武士団】

  1. 〘 名詞 〙 武士の集団。封建的領主階級相互の武的結合で、在地領主層の成立と軌を一にして、一一世紀以降から現われる。鎌倉時代には惣領制的結合であったが、南北朝から室町時代にかけてそれが崩れ、戦国大名の家臣団編成によって消滅して行った。→総領制

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百科事典マイペディア 「武士団」の意味・わかりやすい解説

武士団【ぶしだん】

武士の集団の称。10世紀以後,私領開発を展開し自衛武力を養った在地領主(武士)等は,11世紀以降同族関係(惣領制的結合)を中核とし郎党(ろうとう)・所従(しょじゅう)を従えた戦闘集団(武士団)を形成。のち桓武平氏清和源氏出自者を棟梁と仰いで強い私的主従関係を持つ大武士団を組織する。鎌倉幕府は武士団の長を御家人(ごけにん)として編成,統御した。惣領制の崩壊により武士団は変質,鎌倉末〜室町時代には新たに成長した国衆が地縁的な一揆(党)を形成。
→関連項目兵の道湯浅党横山党郎従

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旺文社日本史事典 三訂版 「武士団」の解説

武士団
ぶしだん

平安中期〜鎌倉時代,同族結合を中核とした武士の軍事的組織
古代末期に,地方に土地を開いた地方豪族や有力名主は血縁的に結ばれた集団を形成していたが,やがて国司に対抗して自己の利益を守るために武装化した。ここに惣領を中心として家子・郎等を結集した武装集団が形成され,これを武士団と呼んだ。のち中小の武士団は有力な豪族のもとに結合され,東国には千葉・三浦などの大武士団が成立した。

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改訂新版 世界大百科事典 「武士団」の意味・わかりやすい解説

武士団 (ぶしだん)

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世界大百科事典(旧版)内の武士団の言及

【中世社会】より

…また公家の個々の家は,主従結合をその内部に生みだしていたが,その家自体が,武士の家のような家父長制的原理で成り立っていなかったためか,その主従関係は契約的性格が比較的強いものであった。
【武家集団】
 中世社会を特色づける武士団も,武芸をもって支配階級に仕える職能団体といわれるように,その本質は職能団体であったが,鎌倉幕府の御家人が,開発領主であり,根本私領,本領とよばれる所領をもつ存在であったように,その多くのものは農業経営を行う在地領主であった。これら武士団の系譜は,国造(くにのみやつこ)以来の地方豪族,中央貴族が土着した地方豪族などであるが,彼らは国衙(こくが)によって武士身分への帰属を認められ,11世紀の末ごろ朝廷の警固を目的とする内裏大番(だいりおおばん)制に国別に編成された。…

【党】より

…《大日本史》は所有する土地の少ない武士のことを小名または党というと述べている。 平安時代から鎌倉時代には,党と称される弱小武士団が共和的団結をすることはなかった。そこで党的武士団は惣領制的武士団に対置される武士団の存在形態として把握される。…

【武家法】より

…日本の武士社会において生み出され,展開した法の系列。武家政権の国家法である幕府法などから,武士団の家法,国人一揆の一揆契約状などの個別団体法を含めた法の総称。平安時代中期以降各地に武士が発生し,その族的結合,主従結合の上に武士団が成立すると,自生的に形成された慣習を土台に,荘園領主の支配法である本所法国衙法(こくがほう)などの影響をうけて,武士社会固有の習(ならい),例などと呼ばれる法慣習が生まれた。…

【武士】より

…しかし歴史上の概念としてはより狭義に用い,武力を有する封建的領主階級およびその先駆的存在としての特定の社会階層に属する人々をさす。すなわち武士の発生は中世的社会の担い手たる在地領主層の成立と表裏の関係にあり,彼らがその同族的関係を中核とし,階層的内部構成をもつ一個の戦闘的権力組織たる〈武士団〉を形成した時期をまたねばならない。このような武士団は11世紀ごろに全国各地に生まれ,その武装集団は時として国司支配に反抗し時としては国衙の武力組織に編成されて地方の治安に当たった。…

【武蔵七党】より

…平安末期以降中世にかけて武蔵国に存在した七つの同族的武士団の総称。七党の数え方は一定せず,横山,猪俣,児玉,丹(たん)(丹治),西,野与(のよ),村山とする説,野与,村山の代りに綴(つづき),私市(きさい)を入れる説,西,村山を省いて綴,私市を加える説など種々の説がある。…

※「武士団」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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