(読み)カ

デジタル大辞泉 「寡」の意味・読み・例文・類語

か【寡】[漢字項目]

常用漢字] [音](クヮ)(呉)(漢) [訓]すくない やもめ
少ない。「寡言寡少寡聞寡黙寡欲衆寡多寡
(徳の少ない意から)古代中国で、王侯が謙遜していう自称。「寡君寡人
独り者配偶者のない人。夫に死なれた女。「寡婦鰥寡かんか
難読寡婦やもめ

やも‐め【寡/寡婦/×孀/×鰥/鰥夫】

(寡・寡婦・孀)夫のいない女。また、夫を失った女。未亡人後家ごけ寡婦かふ
(鰥・鰥夫)妻のいない男。また、妻を失った男。男やもめ。やもお。
[類語](1寡婦未亡人後家

か〔クワ〕【寡】

人数または勢力の少ないこと。⇔
「―は遂に衆の敵ではなかった」〈芥川・老いたる素戔嗚尊
配偶者のない人。やもめ。「を守る」

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精選版 日本国語大辞典 「寡」の意味・読み・例文・類語

クヮ【寡】

  1. 〘 名詞 〙
  2. 人数または勢力の少ないこと。⇔
    1. [初出の実例]「寡(クヮ)を以て衆に当り」(出典:近世紀聞(1875‐81)〈染崎延房〉一一)
    2. [その他の文献]〔礼記‐祭義〕
  3. 徳が少ないこと。転じて、諸侯の自称。寡人。また、自国君主を他国人に対して呼ぶ時にも用いる。寡君。
  4. 配偶者のない、また、配偶者を失った男または女。やもめ。
    1. [初出の実例]「凡鰥寡孤独。貧窮老疾不自存者。〈謂。六十一以上而無妻為鰥也。五十以上而無夫為寡也〉」(出典:令義解(718)戸)
    2. [その他の文献]〔礼記‐王制〕

やも‐め【寡・寡婦・孀・鰥・鰥夫】

  1. 〘 名詞 〙
  2. ( 寡・寡婦・孀 ) 夫のいない女。独身の女。また、夫を失った女。後家。未亡人。かふ。やまめ。やむめ。
    1. [初出の実例]「是を以て里に鰥(やもを)・寡(ヤモメ)無く、家に余の儲(たくはへ)有り」(出典:日本書紀(720)仁徳七年九月(前田本訓))
    2. 「かぐや姫のやもめなるをなげかしければ、よき人にあはせんと思ひはかれど」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
  3. ( 鰥・鰥夫 ) =やもお(鰥夫)
    1. [初出の実例]「昔、をとこ、やもめにてゐて」(出典:伊勢物語(10C前)一一三)

やま‐め【寡・鰥】

  1. 〘 名詞 〙やもめ(寡)
    1. [初出の実例]「我が身ぞ、やまめにていたづらにならめ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)国譲中)

さすり‐びと【寡】

  1. 〘 名詞 〙 身を寄せるところのない人。よるべのない人。さすらう人。〔字鏡集(1245)〕

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普及版 字通 「寡」の読み・字形・画数・意味


常用漢字 14画

[字音] カ(クヮ)
[字訓] やもめ・すくない

[説文解字]
[金文]

[字形] 会意
宀(べん)+頁(けつ)+人。〔説文〕七下に「少なきなり」とし、「宀に從ひ、(はん)に從ふ。ち賦(わか)つなり。故に少なしと爲すなり」と解するが、字は(頒)に従う形でなく、下部は憂の側身形である。宀は家。頁は所で儀礼に従うときの形。喪葬のとき、頭に衰麻(さいま)の類をつけた人が、哀告する形を示したもので、〔礼記王制〕「老いて夫無き、之れを寡と謂ふ」とあるのにあたり、寡婦をいう。老いて妻なきものを鰥(かん)という。

[訓義]
1. やもめ。
2. 徳少なきものの意より、すくない、まれ。
3. ひとりもの、弱小のものの意。
4. 王侯の自称に用いる。寡人。嗣君が即位するとき、孤、寡と称したことによる。

[古辞書の訓]
和名抄〕寡婦 夜毛女(やもめ)〔名義抄〕寡 トモシ 〔字鏡集〕寡 ヤモメ・ヒトリ・サスリヒト・スクナシ・スコシ・アナツル

[語系]
寡koa、(孤)kuaは声義近く、幼にして父無きを孤という。〔釈名、釈親属〕に「寡は踝なり。踝踝は單獨の言なり」、また〔説文〕寡字条の〔段注〕に「然(らぜん)單獨なるを、皆寡と曰ふ」とあり、踝hua、luaiも同系の語。

[熟語]
寡恩・寡過・寡学・寡居・寡君・寡兄・寡見・寡・寡言・寡孤・寡功・寡刻・寡妻・寡識・寡弱・寡酒・寡処・寡女・寡少・寡人・寡浅・寡鮮・寡孀・寡多・寡断・寡儔・寡徳・寡特・寡独・寡訥・寡薄・寡婦・寡夫・寡聞・寡謀・寡味・寡命・寡黙・寡欲・寡慮・寡劣・寡陋
[下接語]
簡寡・鰥寡・居寡・矜寡・孤寡・才寡・弱寡・守寡・衆寡・小寡・少寡・新寡・賑寡・多寡・寡・疲寡・貧寡・豊寡

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

世界大百科事典(旧版)内のの言及

【やもめ】より

…元来,〈やもめ〉の語は《日本書紀》などには寡,寡婦の字があてられ,夫をなくした女,夫のない独身の女を意味し,妻をなくした男は〈やもお〉と呼ばれ,鰥の字があてられた。一方,〈女やもめに花が咲く,男やもめに蛆(うじ)がわく〉という諺にみられるように,〈やもめ〉という言葉は男女双方をさすこともあり,また,結婚せずに独身を通す者に対して用いられることもある。…

※「寡」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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