寺社伝奏(読み)ジシャテンソウ

デジタル大辞泉 「寺社伝奏」の意味・読み・例文・類語

じしゃ‐てんそう【寺社伝奏】

室町江戸時代寺社に関する諸事天皇に執奏した公卿くぎょう

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精選版 日本国語大辞典 「寺社伝奏」の意味・読み・例文・類語

じしゃ‐てんそう【寺社伝奏】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「じしゃでんそう」とも ) 公家職制の一つ。室町・江戸時代、寺社に関する諸事について、朝廷と寺社の間の連絡にあたった役職で、公卿兼職室町時代には、稲荷南都大徳寺など別々に置かれ、江戸時代には、数社寺を一人で統轄したが、伊勢・賀茂・石清水は別に置いた。社寺伝奏。〔京都御役所向大概覚書(1714‐18頃)〕

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改訂新版 世界大百科事典 「寺社伝奏」の意味・わかりやすい解説

寺社伝奏 (じしゃてんそう)

社寺伝奏ともいう。中・近世の公家政治制度の職名。特定の寺院・神社の奏請のみを院や天皇に取り次ぐ伝奏。中世では,とくに伊勢神宮の神宮伝奏,賀茂社の賀茂伝奏,興福寺等の南都伝奏などが有名であり,石清水伝奏,東寺伝奏などが置かれたこともあった。このような特定の寺社のことのみを扱う伝奏に対して,政務一般を扱う伝奏は惣伝奏と呼ばれる。神宮伝奏ほか諸寺社伝奏という言葉は,すでに鎌倉後期の後伏見院政期にみえる。中世では,官大寺や奉幣社などの大寺社や国家的な仏神事にかかわる寺社にのみ置かれたのに対し,江戸時代には,多くの中央・地方の寺社にまで伝奏が置かれ,公卿や門跡がこれを分担,世襲するようになる。寺社伝奏は,各寺社の奏請を武家伝奏に伝え,武家伝奏から公武に奏聞をしたといわれる。
伝奏
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山川 日本史小辞典 改訂新版 「寺社伝奏」の解説

寺社伝奏
じしゃてんそう

諸寺社からの訴訟をはじめとする申し立てを天皇・上皇に伝える公家の役職。伝奏は平安末期から朝廷におかれ,天皇・上皇のそばに仕え奏聞・伝宣を行った。鎌倉中期の後嵯峨院政期に制度的に確立され,事項別に分化した。南都・山門などの諸寺社伝奏もこの一つ。室町時代には他の伝奏同様,朝廷より幕府で活動することが多くなり,諸寺社からの訴えを将軍にとりついだ。

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