七福神の一つで長寿を授ける神。中国の宋(そう)代、元祐年間(1086~93)の人物と伝えられ、その偶像化といわれている。小柄な老人が鹿(しか)を伴い、巻物をつけた杖(つえ)を携えるというのが定型の姿である。日本には禅宗伝来後における水墨画の発達に伴い、その画題の一つとして移入されたものらしい。布袋(ほてい)、福禄寿(ふくろくじゅ)とともにのちには七福神の仲間入りをして福徳神の一つともされた。しかし寿老人は瑞祥(ずいしょう)の象形とはされたが、個別に福神として信仰されるには至らなかった。なお、南極星の化身ともいわれる長頭短躯(たんく)の福禄寿と寿老人は似た性格をもっていて、異名同体とされるなど、かなり混同されてもきた。
[竹内利美]
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…福徳をもたらす神として信仰される7神。えびす(夷,恵比須),大黒天,毘沙門天(びしやもんてん),布袋(ほてい),福禄寿,寿老人,弁才天の7神をいうが,近世には福禄寿と寿老人が同一神とされ,吉祥天もしくは猩々(しようじよう)が加えられていたこともある。福徳授与の信仰は,狂言の《夷大黒》《夷毘沙門》などにもみられ,室町時代にはすでに都市や商業の発展にともなって広まっていたものと思われる。…
…また,長頭短身で杖をつき鶴を伴った福禄寿という神も考え出された。この福禄寿は南極星の化身ともいわれ,また,寿老人と同一視される場合もあり,日本では七福神の一つに数えられている。【砂山 稔】。…
※「寿老人」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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