大学事典 「専門学校令」の解説
専門学校令
せんもんがっこうれい
Imperial Ordinance relating to Special Schools
1903年(明治36)3月,大学,高等師範学校,高等学校を除く,高等教育機関を包含する制度を規定した勅令。文部大臣菊池大麓によって,中等教育修了者を対象にする高等専門教育を行う専門学校を示した規定が制定された。1900年ころまでに中等教育が実質的に整備されたことを受け,私立学校からなされた高等専門教育を行う学校の設置申請への対応を政策上迫られた経緯を有する。専門学校令では,高等の学術技芸を教授する学校を専門学校とした。宗教,外国語,医学,薬学など多様な専門学校が存在し,高等商業学校,高等工業学校,高等農林学校などは,実業専門学校として専門学校の別類型と位置付けられた。専門学校の修業年限は3年以上とし,入学資格は中学校または4年以上の高等女学校卒業以上とした。1930年代の学制改革論議では,専門学校と大学の一元化をめぐる議論も行われた。戦時体制に向けて,国体観念に基づく国家有用の人物を錬成することが専門学校の目的とされた。第2次世界大戦後,学校教育法の制定によって専門学校令は廃止された。
著者: 谷本宗生
出典 平凡社「大学事典」大学事典について 情報