尊者(読み)ソンジャ

デジタル大辞泉 「尊者」の意味・読み・例文・類語

そん‐じゃ【尊者】

目上の人。身分の尊い人。
「君主一人を無上の―として之を仰ぎ」〈福沢福翁百話
《〈梵〉āyuṣmatまたはāryaの訳。前者長寿後者は高貴の意》仏弟子阿羅漢などの尊称。のちに祖師や先徳にも用いる。「日蓮尊者
大臣などの大饗たいきょうのとき、正客として上座に座る人。親王または位の高い人を選ぶ。
「小野宮の大臣の大饗行ひ給ひけるに、九条大臣は―にてなむ参り給へりける」〈今昔・二四・三〉
裳着もぎの式のとき、腰のひもを結ぶ役。腰結い
「―の大臣の御引出物など、かの院よりぞ奉らせ給ひける」〈・若菜上〉

そん‐ざ【尊者】

そんじゃ(尊者)」の直音表記
阿難―ぞおはしける」〈梁塵秘抄・二〉

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「尊者」の意味・読み・例文・類語

そん‐じゃ【尊者】

〘名〙
① 目上の人。身分の尊い人。〔色葉字類抄(1177‐81)〕 〔礼記‐玉藻〕
② 昔、大臣などの大饗で、主賓として上座にすわる客。
※九暦‐九暦抄・天暦三年(949)正月一一日「初献、式明親王勧尊者、主人勧納言、次第理可然而已、相違太閤教命」
※大鏡(12C前)二「いかがしけん、尊者の御前にとりおとしてけり」
③ (②に擬していう) 裳着の際の腰結役(こしゆいやく)
源氏(1001‐14頃)若菜上「人々の祿、そん者の大臣の御引出物など、彼の院よりぞ奉らせ給ひける」
④ (āyuṣmat の訳語。具寿(ぐじゅ)とも直訳する) 仏語。智徳具備した尊崇すべき者で、仏弟子に対する敬称。また後世、祖師、先徳の意にも用いる。
※正倉院文書‐二月二八日・猪名部枚虫啓(762頃)「蒙尊者慈想、件上日連署佐官欲請」
三帖和讚(1248‐60頃)浄土「尊者阿難座よりたち世尊の威光を瞻仰し」

そん‐ざ【尊者】

〘名〙 (「ざ」は「じゃ」の直音表記) =そんじゃ(尊者)
※梁塵秘抄(1179頃)二「釈迦の御弟子は多かれど、仏の従弟は疎からず、親しきことは誰れよりも、阿難そんざぞおはしける」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

普及版 字通 「尊者」の読み・字形・画数・意味

【尊者】そんじや

貴人

字通「尊」の項目を見る

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「尊者」の意味・わかりやすい解説

尊者
そんじゃ
āyuṣmat

仏教用語。具寿 (ぐじゅ) ,長老,あるいは上座とも訳され,有徳な仏弟子に対する尊称。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

焦土作戦

敵対的買収に対する防衛策のひとつ。買収対象となった企業が、重要な資産や事業部門を手放し、買収者にとっての成果を事前に減じ、魅力を失わせる方法である。侵入してきた外敵に武器や食料を与えないように、事前に...

焦土作戦の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android