小天温泉(読み)オアマオンセン

デジタル大辞泉 「小天温泉」の意味・読み・例文・類語

おあま‐おんせん〔をあまヲンセン〕【小天温泉】

熊本県玉名市にある温泉泉質単純温泉夏目漱石草枕」に登場する那古井温泉のモデル

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日本歴史地名大系 「小天温泉」の解説

小天温泉
おあまおんせん

[現在地名]天水町小天

唐人とうじん川河口左岸、うら一帯に所在する。開設時期は不明。明和元年(一七六四)五月に湯ノ浦にあった温泉に加えて白浜しらはま(現飽託郡河内町)村境に新たに発見されている(熊本藩年表稿)。同年八月には温泉仕立の出願をし、繁盛のため小屋ができている(同書)。文政九年(一八二六)二月、長崎から旅立ったシーボルトは「肥後海岸にある小天温泉はぬるい普通の温泉で、少量の岩塩が溶けて含れており、夏には訪れるものが多い」と紹介している(江戸参府紀行)。「郡村誌」は「小天湯」と載せ、「湯質硫黄気ヲ以テ成ス」として疝気・疝癪・疥癬に効能ありとし、浴湯三、逆旅六、一年の浴客は日帰りが一千二〇〇人余、滞留者四〇〇人余、微温のために初夏から晩秋に限るという。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「小天温泉」の意味・わかりやすい解説

小天温泉
おあまおんせん

熊本県玉名市(たまなし)天水町小天(てんすいまちおあま)にある温泉。温州(うんしゅう)ミカンの木々に囲まれた田園風景の広がる閑静な湯里。もとは島原湾の海岸にあったが、干拓で遠くなった。夏目漱石(そうせき)の小説『草枕(くさまくら)』に登場する那古井(なこい)温泉は、この湯里がモデルで、執筆した部屋が残っている。かつては湯之浦とも称し、近在湯治場で、共同浴槽が3か所に分かれていた。泉質は単純温泉。JR玉名駅からバス20分。

[山口守人]

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