原索動物門の1綱Urochordataで、脊索(せきさく)を生活史の一時期あるいは終生、尾部にもつ海産無脊椎動物(むせきついどうぶつ)の総称。体が、表皮により分泌形成される被嚢(ひのう)で例外なく覆われることから、被嚢類Tunicataとも称される。成体では脊索を失い固着生活する海鞘亜綱(かいしょうあこう)Ascidiacea、終生浮遊生活し脊索をもち続ける尾虫亜綱(びちゅうあこう)Appendiculata(=幼形類Larvacea)、そして終生浮遊生活するが、少なくとも成体では脊索がまったくないタリア亜綱Thaliacea(サルパ類ともよばれる)の3亜綱が区別される。海鞘類(亜綱)はホヤ類、尾虫類(亜綱)はオタマボヤ類・サイヅチボヤ類、そしてタリア類(亜綱)はウミタル類・サルパ類・ヒカリボヤ類をそれぞれ含む。これまでに世界各地から総計約200属2400種以上が記載されているが、その大部分は海鞘亜綱に属している。
尾索類は、ヒトもその一員である脊椎動物に縁続きと考えられ、脊椎動物が無脊椎動物からどのように進化してきたかの謎(なぞ)を解くための、さまざまなヒントを与えてくれる生物群の一つとして、古くから注目されている。
[西川輝昭]
原索動物門の1綱。すべて海産で,尾虫目Appendicularia,サルパ目Thaliacea,火体目Pyrosomata,ホヤ目Ascidiaceaの4目を含む。尾索類の幼時は,オタマジャクシ形をしていて,尾の部分に脊索が見られるが,変態して着生生活にはいると,脊索と尾の筋肉がいっしょに頭の部分に吸収されてまったく見られなくなる。しかし,尾虫目では親でも幼生時代の形態が保たれ,脊索で支持された長い尾部をもっている。いずれも成体では体腔,排出器も失い,神経管,消化器後部が退化する。雌雄同体で,無性あるいは有性生殖を行う。ホヤ目は着生生活をするが,それ以外はすべて浮遊生活をし,なかには魚類の重要な天然飼料になっているものもある。
執筆者:今島 実
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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…約2500種が知られている。 原索動物は脊索の状態によって尾索類Urochordataと頭索類Cephalochordataの2綱に分けられる。尾索類にはホヤ目Ascidiacea,サルパ目(タリア目)Thaliacea,尾虫目(オタマボヤ目)Appendicularia,火体目(ヒカリボヤ目)Pyrosomataの4目が含まれる。…
…約2500種が知られている。 原索動物は脊索の状態によって尾索類Urochordataと頭索類Cephalochordataの2綱に分けられる。尾索類にはホヤ目Ascidiacea,サルパ目(タリア目)Thaliacea,尾虫目(オタマボヤ目)Appendicularia,火体目(ヒカリボヤ目)Pyrosomataの4目が含まれる。…
※「尾索類」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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