(石山洋)
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江戸中期の世界地理学者。名は昌永、字(あざな)は子明、夢遊道人と号した。土浦藩士の子として江戸藩邸に生まれる。大槻玄沢(おおつきげんたく)に蘭学(らんがく)を学び、新井白石(あらいはくせき)著『采覧異言(さいらんいげん)』の誤りを多数の内外参考書によって訂正したうえで、オランダ語地理書から訳出して大幅に増補し、1802年(享和2)『訂正増訳采覧異言』として幕府に献じた。このほか幕命による『魯西亜(ろしあ)国志』をはじめ多数の海外地誌・紀行・史書の訳述がある。幕府要職者や手写を通じて識者の海外知識源となり、思想的に開明・守旧の別なく賞賛された。没後公刊されたのは、内容が一般受けする『西洋雑記』と剽窃(ひょうせつ)本『海外人物輯(しゅう)』『改正海外諸島図説』にとどまるのは惜しい。
[石山 洋]
『鮎沢信太郎著『山村才助』(1959/新装版・1989・吉川弘文館)』
江戸後期の地理学者。名は昌永,号は夢遊道人,才助は通称。土浦藩士。地理学を好み,1789年(寛政1)大槻玄沢の芝蘭堂に入ってオランダ語を学び,世界地理学の研究に従事した。主著の《訂正増訳采覧異言》(1820成稿)は新井白石の《采覧異言》の誤りを訂し,さらに増補したもので,江戸時代を通じて最良の世界地理書と評価されている。ほかに《西洋雑記》など翻訳が多数ある。
執筆者:佐藤 昌介
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