日吉山王社(日吉(ひよし)大社)にまつわるさまざまな霊験譚を描いた絵巻で,現存作品に2系統がある。静岡日枝神社本1巻は,後二条関白藤原師通が日吉山の神罰をこうむった説話から本社創立の縁起を説く。損傷はなはだしく,詞2段,絵1段を残すのみとなっているが,弘安11年(1288)製作・奉納の奥書があり,絵1段の叡山と争う義綱の軍の場面は生彩に富み,鎌倉期大和絵の温雅な画風を示す。一方,京都蓮華寺旧蔵本2巻,穎川美術館本1巻,延暦寺本1巻はもと一連の作品で,叡山の僧侶を中心とした伝記にあらわれる日吉山王の霊験譚を集めたもので,《山門僧伝》とも呼ばれた。画面上下に形式化した霞(すやり霞)をおき,画風も簡略で稚拙なものとなっており,15世紀室町時代の製作と考えられる。
執筆者:田口 栄一
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
「山門僧伝」とも。日吉(ひえ)山王の霊験談を集めた絵巻。現存の遺品には,1288年(正応元)の奥書をもつ静岡県沼津市の日枝神社の1巻(縦37.6cm,横664.5cm。重文)と,これと系統を異にする室町時代の制作になる4巻本(久保惣記念美術館・穎川(えがわ)美術館・延暦寺に分蔵)がある。また詞書(ことばがき)だけ伝わる「日吉山王利生記(りしょうき)」は文永年間の,同じく「山王絵詞」(妙法院蔵)は1314年(正和3)の成立と推定される。紙本着色。
出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
《〈和〉doctor+yellow》新幹線の区間を走行しながら線路状態などを点検する車両。監視カメラやレーザー式センサーを備え、時速250キロ以上で走行することができる。名称は、車体が黄色(イエロー)...
12/17 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新