書誌学上の用語。典籍のうち写本の巻末に書かれた記載で,主として書写・校合・伝授などについて記す。また修補に関して書かれたものも奥書としてよい。何度か転写された場合には,そのたびごとに書写に関する奥書が加えられる(これを本奥書(ほんおくがき)という)。これによってその典籍の著者をはじめ,伝来の経路,性格を知ることができ,重要な記載である。版本の場合,巻末に出版の年月日,場所,出版者名などが簡単に記されているが,これを刊記(かんき)といい奥書と区別するのが普通である。古文書にあっては,料紙の左端を奥といい,ここに本文に対する証明,保証,承認,命令,指示の文言が別筆で記載されることがある。これも広く奥書と称せられることもあるが,奥証判,奥外題などといった方が厳密である。芸能の世界では奥儀伝授の証明として奥書の形式が用いられることもあった。
執筆者:上島 有
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
書籍の末尾、文書の左端を奥とよび、そこに書かれた文をいう。巻子(かんす)、冊子(さっす)を問わず、書物の著作、書写のとき、あるいは宗教人が聖教(しょうぎょう)を弟子に授けて授法した際、年月日、その趣旨、由来、執筆者名などを書籍の末尾に記したが、これらを奥書とよんでいる。また琵琶(びわ)の伝授状は、曲譜とは別の単独のものでも奥書とよばれている。古文書の場合には、文書の奥に、本文に対する返事や指令、追て書、証判などを書くことがあるが、これを奥書という。
[百瀬今朝雄]
…跋文,後跋(こうばつ),後序ともいう。そのほか後世につけ加えたりしたものもまとめて奥書(おくがき)という。それに対して,書物の巻頭にはしばしば序文(序,はしがきともいう)が付けられ,編著の経緯・次第のほか,その目的,謝辞などが記される。…
※「奥書」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
米テスラと低価格EVでシェアを広げる中国大手、比亜迪(BYD)が激しいトップ争いを繰り広げている。英調査会社グローバルデータによると、2023年の世界販売台数は約978万7千台。ガソリン車などを含む...
11/21 日本大百科全書(ニッポニカ)を更新
10/29 小学館の図鑑NEO[新版]動物を追加
10/22 デジタル大辞泉を更新
10/22 デジタル大辞泉プラスを更新
10/1 共同通信ニュース用語解説を追加