日本大百科全書(ニッポニカ) 「山田線」の意味・わかりやすい解説
山田線
やまだせん
東日本旅客鉄道(JR東日本)の線路名称。盛岡―宮古(みやこ)間、102.1キロメートル、全線単線、非電化。以前は宮古―釜石(かまいし)間55.4キロメートルを含む157.5キロメートルで、太平洋に注ぐ閉伊(へい)川の河谷に沿って走る北上(きたかみ)山地横断鉄道(盛岡―宮古間)と三陸海岸沿いに走る三陸縦貫鉄道(宮古―釜石間)の機能をあわせもつ路線であった。全線にわたって急曲線、急勾配(こうばい)区間の連続する劣悪な線形となっている。1923年(大正12)以降、盛岡側より逐次部分開業を進め、1934年(昭和9)宮古に、1939年釜石に達して路線を全通させた。1987年(昭和62)、日本国有鉄道(国鉄)の分割民営化に伴い、JR東日本に所属。2011年(平成23)3月11日の東日本大震災により全線不通となったが、同年4月までに盛岡―宮古間は復旧した。しかし、津波による被害が大きかった宮古―釜石間の再開は時間を要し、2014年12月に当該区間をJR東日本が復旧のうえ、三陸鉄道へ移管することで合意した。同区間は三陸鉄道の南・北リアス線と統合されて、2019年3月にリアス線(盛(さかり)―釜石―宮古―久慈(くじ))の一部として新たなスタートを切った。なお、現在の山田線の盛岡―宮古間は、全面的に改良された国道106号と並行することから、所要時間、運転本数ともに急行バスが優位にたち、鉄道はメインルートの地位を失っている。
[青木栄一・青木 亮 2019年9月17日]