三陸鉄道(読み)サンリクテツドウ

デジタル大辞泉 「三陸鉄道」の意味・読み・例文・類語

さんりく‐てつどう〔‐テツダウ〕【三陸鉄道】

三陸海岸を走る鉄道。昭和59年(1984)、久慈くじ宮古間の北リアス線(71.0キロ)と釜石さかり間の南リアス線(36.6キロ)が開通。平成31年(2019)3月、南北リアス線を連絡するJR山田線から宮古・釜石間の経営が移管され、久慈から盛の全区間がリアス線(163.0キロ)として統合された。

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

共同通信ニュース用語解説 「三陸鉄道」の解説

三陸鉄道

岩手県沿線自治体が出資する第三セクターで本社は宮古市。旧国鉄赤字路線を引き継ぎ、新たに整備した区間を加えて1984年4月1日に開業、県沿岸部で北リアス線と南リアス線を運行してきた。東日本大震災で被災したJR山田線宮古―釜石の移管を受け、南北リアス線と合わせたリアス線が今年3月23日に開通。ホタテの貝殻に願い事を書いた絵馬が飾られた恋し浜駅(大船渡市)や吉里吉里きりきり駅(大槌町)、陸中野田駅(野田村)など40駅がある。

更新日:

出典 共同通信社 共同通信ニュース用語解説共同通信ニュース用語解説について 情報

精選版 日本国語大辞典 「三陸鉄道」の意味・読み・例文・類語

さんりく‐てつどう‥テツダウ【三陸鉄道】

  1. 岩手県の三陸沿岸を走る鉄道。久慈━宮古間の北リアス線(七一キロメートル)と釜石━盛(さかり)間の南リアス線(三六・六キロメートル)から成る。昭和五九年(一九八四)営業開始。宮古━釜石間(五五・四キロメートル)はJR山田線が連絡。

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例

百科事典マイペディア 「三陸鉄道」の意味・わかりやすい解説

三陸鉄道[株]【さんりくてつどう】

岩手県の海沿い,三陸海岸沿いを走る第三セクター鉄道。国鉄の赤字ローカル線を引き継いだものとしては最初に開業へこぎつけた鉄道で,1984年営業開始。路線は,国鉄盛線を引き継いで延伸した南リアス線(盛〜釜石間36.6km)と,国鉄宮古線・久慈線を延伸して繋いだ北リアス線(宮古〜久慈間71.0km)に分かれて営業,前後のJR線も含めて三陸を縦断する1本のレールを形成する。出入りが激しく険しい地形が続く三陸沿岸では鉄道の開通が悲願だったこともあり,開業後しばらくは好調な経営が続いた。各駅愛称を付したり,1989年に開催の横浜博覧会で用いられたレトロ車両を譲受(現在は退役)したり,沿線自治体とタイアップし仙台〜八戸を結ぶ長距離直通列車を運転して様々なイベントを企画するなど話題も豊富であったが,少子高齢化や沿線の人口減少などにより近年は赤字に転落。加えて,2011年の東日本大震災では各地で津波による鉄道施設への被害が多数発生,震災直後から部分的に運行を再開はしたものの,その後2014年の全面復旧まで3年もの期間を要した。高架橋や線路もろとも津波で破壊された北リアス線島越駅は,復旧に際し駅舎を海とは反対側へ移設し,線路も防潮堤を兼ねた土盛り構造に改められている。全線での復旧直前には,テレビドラマの舞台となって知名度が上昇。また復旧に際してはクウェートから資金面で大きな支援が得られ,新しく投入された代替車両車内にもその旨が記されている。全線復旧後も,震災を学ぶことのできる企画列車やお座敷車両の運行は継続予定。南北両線を結んでいたJR山田線は運行再開のめどが立たず,地元ではこの区間を三陸鉄道へ移管する案も含めて検討が続けられている。本社岩手県宮古市,車庫所在地盛・久慈。資本金3億円。
→関連項目岩泉線第三セクター

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「三陸鉄道」の意味・わかりやすい解説

三陸鉄道(株)
さんりくてつどう

岩手県の三陸海岸に沿って走る路線をもつ民営鉄道。日本国有鉄道(国鉄)の地方交通線廃止に際し、その代行として地元の公共団体や民間の出資により会社を設立して鉄道営業を行う「第三セクター方式」の最初の例となった。1981年(昭和56)に設立され、1984年に営業を開始した。当初、路線は久慈(くじ)―宮古(みやこ)間の北リアス線(71.0キロメートル)と、釜石(かまいし)―盛(さかり)間の南リアス線(36.6キロメートル)に分かれていた。このうち久慈―普代(ふだい)間、田老(たろう)―宮古間、吉浜(よしはま)―盛間は、国鉄がそれぞれ久慈線、宮古線、盛線として営業していたものを引き継いだ路線である。また普代―田老間と釜石―吉浜間は、日本鉄道建設公団(現、鉄道建設・運輸施設整備支援機構)が国鉄新線として建設中であったものを切り替えて完成させた。2011年(平成23)3月11日の東日本大震災により全線不通となったが順次復旧が行われ、2014年4月に南リアス線(4月5日)と北リアス線(4月6日)ともに全線で運転を再開した。2019年3月には東日本旅客鉄道(JR東日本)山田線の宮古―釜石間55.4キロメートルが移管され、南・北リアス線と統合して盛―久慈間163キロメートルがリアス線として運行を開始した。全線単線、非電化。これにより三陸鉄道は第三セクター鉄道でもっとも長い路線をもつ会社になった。

[和久田康雄・青木 亮 2019年9月17日]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典(旧版)内の三陸鉄道の言及

【三陸海岸】より

…1896年三陸大津波の復興策として計画された三陸縦貫鉄道の建設は,地域住民の悲願であったが,大正末に一部開通した八戸線をはじめ,以後大船渡線,山田線などが建設されたものの建設は進まなかった。80年余を経た1984年に第三セクター〈三陸鉄道株式会社〉によって北リアス線(久慈~宮古間)と南リアス線(釜石~盛間)が開通し,JR山田線経由で久慈~盛間の直通運転もされている。これによって青森県八戸から宮城県河南町前谷地まで344kmが鉄道で結ばれた。…

※「三陸鉄道」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

カイロス

宇宙事業会社スペースワンが開発した小型ロケット。固体燃料の3段式で、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が開発を進めるイプシロンSよりもさらに小さい。スペースワンは契約から打ち上げまでの期間で世界最短を...

カイロスの用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android