岩殿山(読み)いわどのやま

日本歴史地名大系 「岩殿山」の解説

岩殿山
いわどのやま

現坂北村と現生坂いくさか村の間に南北に連なる第三紀水成岩によってできた山脈の中心部に位置し、標高は一〇〇八メートル。水蝕による奇岩・奇峰が多く、坂北村・麻績おみ村方面からみると飛騨山脈(北アルプス)を背景として変化のある山景をしている。この山を背に岩殿がんでん寺がある。

享保九年(一七二四)の「信府統記」に「岩殿ト云フハ、神代ノ古伊弉諾・伊弉冉尊此所に降臨マシマシテ、此岩屋ニ御腰ヲカケラレシ故ニ、岩殿ト云ヒ伝ヘタリ、岩殿寺ノ本尊ハ般若ノ守護神、深沙明主、本地ハ釈迦如来ナリ、岩屋ニハ十一面観音ヲ安置ス、本堂戌亥ノ方ニ三社権現ノ社アリ、富蔵山ハ文治四年ノ比梵僧一人来リテ、此山ノ岩屋ニ於テ一七日ノ間法華経読誦シ畢テ、後行方知レス、其跡ニ今マテ無カリシ馬頭観音ノ尊像忽然トシテ岩屋ニ鎮座マシマシシ故皆人是ヲ崇メ奉レルヨリ、今ニ霊跡タリ」とある。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「岩殿山」の意味・わかりやすい解説

岩殿山
いわどのさん

山梨県大月市(おおつきし)にある岩山。標高634メートル。南面に鏡岩(古くは大黒岩)とよばれる大岩壁(礫(れき)岩)がそびえ立ち、南と東を桂(かつら)川と葛野(かずの)川に挟まれ、西と北は山々に囲まれる要害の地で、都留(つる)郡の領主小山田(おやまだ)氏の城があった。この城には、武田勝頼(かつより)が小山田信茂(のぶしげ)を頼って新府城から岩殿山へ向かう途中で、信茂が裏切ったため、武田氏が滅んだという哀史を秘めている。中腹の丸山は公園として整備されているほか、山頂の展望台、峰続きの兜(かぶと)岩、稚子(ちご)落としなどの景勝地がある。JR中央本線大月駅下車、徒歩40分。

吉村 稔]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「岩殿山」の意味・わかりやすい解説

岩殿山
いわとのさん

山梨県東部,大月市の桂川北岸にある山。標高 637m。中腹から頂上にかけては鏡岩と呼ばれる岩壁をなす。桂川と支流葛野川に囲まれる要害の地で,武田氏の家臣小山田氏の城があった。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

事典・日本の観光資源 「岩殿山」の解説

岩殿山

(山梨県大月市)
山梨百名山指定の観光名所。

出典 日外アソシエーツ「事典・日本の観光資源」事典・日本の観光資源について 情報

今日のキーワード

部分連合

与野党が協議して、政策ごとに野党が特定の法案成立などで協力すること。パーシャル連合。[補説]閣僚は出さないが与党としてふるまう閣外協力より、与党への協力度は低い。...

部分連合の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android