川瀬里子(読み)かわせさとこ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「川瀬里子」の意味・わかりやすい解説

川瀬里子
かわせさとこ

[生]1873.9.3. 熊本
[没]1957.8.15. 東京
地歌箏曲家。旧姓中山。4歳で失明し,6歳のとき九州系地歌三弦(→三弦三味線)の名手として知られた長谷幸輝に入門。1世福田栄香,木谷寿恵らとともに長谷門下の三羽烏と呼ばれた。1900年頃上京し,名古屋系の吉田久子に箏組歌を学ぶ。1902年に再上京して,地歌箏曲を教え始めた。1904年琴古流尺八家の 1世川瀬順輔に嫁ぐ。師の長谷幸輝を東京に呼び,九州系の芸を東京に広めることに尽力した。また三弦師の協力のもとに,高音域まで勘所を使って演奏ができるように,鳩胸の部分が共鳴胴の真近くまで迫って傾斜する,今日最も普及している地歌三弦に改良した。またも文化年間(1804~18)頃大坂の 1世津山検校が考案した津山撥より,さらに先端の開きを大きくし,鉛駒(→)にも改良を加えた。1947年里心会を結成太田里子,阿部桂子,井上道子,矢木敬二,川瀬白秋ら優れた弟子を育てた。

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新撰 芸能人物事典 明治~平成 「川瀬里子」の解説

川瀬 里子
カワセ サトコ


職業
箏曲家

専門
地歌

旧名・旧姓
中山

生年月日
明治6年 9月3日

出生地
熊本県 松橋

経歴
4歳の時失明、6歳で三弦を九州系の長谷幸輝に師事、明治33年ごろ上京し、吉田久子に名古屋系生田流箏組歌を習った。一時帰郷したが35年再び上京、地歌、箏曲を教えた。37年尺八家の初代川瀬順輔と結婚、九州系地歌、箏曲を東京に広めた。また地歌三味線の改良を手がけ、三弦師鶴屋の協力で、一分五厘台の現在の地歌三味線と、鉛駒、九州撥の型を作った。昭和22年里心会を結成、太田里子、阿部桂子らの門下生を育てた。三曲協会相談役。

没年月日
昭和32年 8月15日 (1957年)

家族
夫=川瀬 順輔(初代)(尺八奏者)

伝記
阿部桂子 地歌とともに九十年 地歌とともに九十年刊行会 編(発行元 中日新聞本社 ’92発行)

出典 日外アソシエーツ「新撰 芸能人物事典 明治~平成」(2010年刊)新撰 芸能人物事典 明治~平成について 情報

20世紀日本人名事典 「川瀬里子」の解説

川瀬 里子
カワセ サトコ

明治〜昭和期の箏曲家



生年
明治6年9月3日(1873年)

没年
昭和32(1957)年8月15日

出生地
熊本県松橋

旧姓(旧名)
中山

経歴
4歳の時失明、6歳で三弦を九州系の長谷幸輝に師事、明治33年ごろ上京し、吉田久子に名古屋系生田流箏組歌を習った。一時帰郷したが35年再び上京、地歌、箏曲を教えた。37年尺八家の初代川瀬順輔と結婚、九州系地歌、箏曲を東京に広めた。また地歌三味線の改良を手がけ、三弦師鶴屋の協力で、一分五厘台の現在の地歌三味線と、鉛駒、九州撥の型を作った。昭和22年里心会を結成、太田里子、阿部桂子らの門下生を育てた。三曲協会相談役。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「川瀬里子」の解説

川瀬里子 かわせ-さとこ

1873-1957 明治-昭和時代の地歌・箏曲(そうきょく)家。
明治6年9月3日生まれ。夫は初代川瀬順輔。長谷幸輝に三味線を,吉田久子に名古屋系の生田流箏組歌をまなぶ。のち師の長谷をまねいて九州系の地歌,箏曲を普及させる。また三弦師鶴屋の協力をえて改良型の地歌三味線を完成させた。昭和22年里心会を結成。昭和32年8月15日死去。83歳。熊本県出身。旧姓は中山。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

367日誕生日大事典 「川瀬里子」の解説

川瀬 里子 (かわせ さとこ)

生年月日:1873年9月3日
明治時代-昭和時代の箏曲家
1957年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

世界大百科事典(旧版)内の川瀬里子の言及

【地歌】より

…北派ともいわれる菊の字を姓に含む菊筋の演奏家では,菊原琴治の娘の菊原初子(1899‐ ),南派の富の字を姓に含む富筋の演奏家では,東京に進出した富崎春昇とその門下の富山清琴(1913‐ )が,いずれも人間国宝に指定された。 別に九州にも独自の伝承が行われ,とくに三味線の技巧的発達をくふうするものが多かったが,明治以降に,長谷幸輝(ながたにゆきてる)や,その門下の川瀬里子(1873‐1957)などが東京に移住してからは,東京の生田流箏曲家は,この九州系の地歌三味線家でもある者が主流を占めるに至った。とくに川瀬の改良した三味線は,現在では地歌三味線として全国で用いられ,京都の一部で,細い棹の柳川三味線を用いることもあるという状態に至っている。…

【長谷幸輝】より

…1893年に上京し,三味線の楽器改良や撥(ばち)のくふうも行う。門下に川瀬里子(1873‐1957),福田栄香が出て,とくに川瀬は師の跡を受けて三味線を改良。今日,地歌で一般に用いられているのはこの川瀬の改良作である。…

※「川瀬里子」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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