川端道喜(読み)かわばたどうき

精選版 日本国語大辞典 「川端道喜」の意味・読み・例文・類語

かわばた‐どうき【川端道喜】

安土桃山時代の菓子商人京都の人。本名、中村五郎左衛門。通称、餠屋(もちや)皇室衰微を悲しんで餠を献上。また、私財御所修理国学和歌茶道にも通じた。代々道喜の名を世襲。天正二〇年(一五九二)没。

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デジタル大辞泉 「川端道喜」の意味・読み・例文・類語

かわばた‐どうき〔かはばたダウキ〕【川端道喜】

[?~1592]戦国・安土桃山時代の京都の商人。本名は中村五郎左衛門。餅・ちまきを製造販売、京餅座の権利を取得して供御くごの餅を御所に献上した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「川端道喜」の意味・わかりやすい解説

川端道喜
かわばたどうき
(?―1592)

京都の餅(もち)商人。京都南郊鳥羽(とば)の住人渡辺進(すすむ)の女婿(じょせい)中村五郎左衛門(ごろざえもん)は、入道して道喜といった。道喜は1504年(永正1)ころに皇居の垣の外を流れる御溝(みかわ)の傍らの新在家(しんざいけ)に住み、その川端屋号とした。のち餅屋を営業し、餅座に加入するが、いつしか褐(かち)染めの素襖(すおう)を着て、餅を硯(すずり)の蓋(ふた)にのせ、宮廷に供進するようになった。そのときの唐櫃(からびつ)というのが川端家に現蔵されている。77年(天正5)宮廷で築地(ついじ)などを修理したとき、道喜は費用を納めるなど尽力した。そして酒役(酒造か酒の販売もしたのであろう)などの租税織田信長から免除されたという。墓は京都市上京区の浄福寺。子孫も道喜を称し、営業を継ぎ京都に住み、現在に至る。道喜ちまきで名高い。

奥野高広

『西田直二郎・柴田実編『立入宗継文書・川端道喜文書』(『国民精神文化文献 13』1937・国民精神文化研究所)』『松村茂・西山治朗著『京の老舗をたずねて』(1979・サンブライト出版)』

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改訂新版 世界大百科事典 「川端道喜」の意味・わかりやすい解説

川端道喜 (かわばたどうき)
生没年:?-1592(文禄1)

戦国時代末の京都の町衆。本名は中村五郎左衛門。正親町(内裏近辺の町)の餅屋渡辺に婿入りして渡辺弥七郎と称し,入道して道喜。和歌・茶をたしなみ公家・武家衆と交遊。禁裏被官人となることによって諸役免除の特権を獲得する。一方,禁裏六町組の宿老としても活躍し,六町組関係史料などを伝えた。1577年(天正5)に道喜が内裏築地の修理に尽力したことは有名。91年に新在家絹屋町(後に川端町)に移住し,この後代々川端道喜を名のり,粽(ちまき)を商う。
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朝日日本歴史人物事典 「川端道喜」の解説

川端道喜

没年:文禄1.7.26(1592.9.2)
生年:生年不詳
戦国・安土桃山時代の京都の豪商。京都御所へ粽,餅を供御した菓子司。本名中村五郎左衛門。洛中新在家川端町に住み,入道名を道喜と称したところから川端道喜の名がある。学問,教養,芸能に深くなじんだ文人でもあり,京餅座の重鎮でもあったらしい。代々が道喜と称し,以後16代にわたり京都の代表的な菓子舗として知られる。供御される粽,餅は,明治維新まで「お朝物」(朝餉の儀)として残っていた。同家には『川端道喜文書』をはじめ,数々の餅菓子史料が残され,今日に伝えられている。墓は京都の浄福寺(上京区)にある。

(森谷尅久)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「川端道喜」の解説

川端道喜 かわばた-どうき

?-1592 戦国-織豊時代の商人。
永正(えいしょう)のころ京都で餅(もち)座の権利を得,ちまき,餅を御所に献上する。天正(てんしょう)5年御所の築地(ついじ)修造の作事奉行をつとめた。19年以後,川端町にすみ,当主は代々川端道喜を名のった。天正20年7月26日死去。京都出身。姓は中村。通称は五郎左衛門。

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百科事典マイペディア 「川端道喜」の意味・わかりやすい解説

川端道喜【かわばたどうき】

戦国末期の京都の町衆。本名は中村五郎左衛門。餅屋渡辺に婿入り,入道して道喜と号した。禁裏被官人として諸役免除の特権を有し,禁裏六町組の宿老としても活躍。1577年内裏築地修造の作事奉行を務めた。1591年新在家絹屋町(のち川端町)に移住,その後代々川端道喜を名乗り,餅・粽(ちまき)を商った。六町組関係史料など川端道喜文書が伝わる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「川端道喜」の意味・わかりやすい解説

川端道喜
かわばたどうき

[生]?
[没]文禄1(1592)
室町時代末期,禁裏に供御を献上した京都の菓子商人。本名,五郎左衛門,通称餅屋,川端を家名とした。天正5 (1577) 年,私財を投じて禁裏の修理に尽力したことで有名。子孫も代々道喜を称した。

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