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州際通商法 しゅうさいつうしょうほうInterstate Commerce Act

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

州際通商法
しゅうさいつうしょうほう
Interstate Commerce Act

1887年に制定されたアメリカの連邦法で,陸上運送 (当初は主として鉄道) の規制を目的とするもの。州際商業法,州際交通法ともいう。これは前に,アメリカでは,鉄道トラストが成立し,運賃の差別,リベートの供与など各種の不公正な取引行為が行われたので,これを規制するために制定されたものである。規制の中心は運賃の規制であり,州際通商に従事する鉄道業者,バス運送業者またはトラック運送業者などは,その運賃を届け出て,認可を受けなければならず,運賃が不合理に高いものであるときには,認可は与えられない。なお,石油のパイプラインなども,この法律の規制を受ける。

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世界大百科事典 第2版の解説

しゅうさいつうしょうほう【州際通商法 Interstate Commerce Acts】

州際通商の規制に関する一連のアメリカ合衆国連邦法。〈州際通商〉とは,複数の州との間または州とその州外の地(外国を含む)との間の交易,通商,輸送,伝達,通信をいい,合衆国憲法(第1編第8節3項)は連邦議会に州際通商を規制する権限を与えている。連邦政府は,この〈通商条項〉にもとづく立法によって,外国との通商のみならず,国内における経済活動を広い範囲にわたって規制できる。20世紀に入って,多様になり広域化した生産・流通・消費にかかわる活動を全国的見地から規制する連邦立法が数多く生まれたが,通商条項はこうした領域における連邦権限拡大のための憲法上の主要な根拠となっている。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

州際通商法
しゅうさいつうしょうほう
Interstate Commerce Act

アメリカ合衆国の経済法で、鉄道運賃統制を主眼として、1887年に制定された初の私企業規制法。南北戦争(1861~65)後アメリカでは、大陸横断鉄道をはじめ盛んに鉄道がつくられた。まもなく鉄道企業間の競争のため、特定商品または業者を優遇した料金差別、リベート支払い、あるいは長距離より短距離料金の割高、他方ではカルテル結成による高運賃制など、さまざまな不当行為が展開された。そのおもな犠牲者たる中西部農民の運動によって、1870年代に諸州が規制法を設けたが、これは86年に違憲とされた。そこで翌年、連邦法として本法が成立し、施行機関として州際通商委員会が置かれた。同委は不当行為禁止、適正運賃維持の権限をもったが、90年代の裁判で骨抜きとなった。本法は反トラスト法の契機となり、のち革新主義時代の諸立法で強化され、運賃規制が本格化された。さらに本法は、船舶、自動車など航空以外の運輸業に適用されるに至っている。[長沼秀世]

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世界大百科事典内の州際通商法の言及

【アメリカ合衆国】より

…北東部の民間資金や政府の補助金で建設された鉄道は,工業製品の市場を西部に拡大するのに役立ったが,逆に西部の農民は差別運賃によって不利益をうけた。〈グレンジャー運動〉と呼ばれる農民運動は,各州政府をして鉄道運賃の規制に向かわせたが,これはついに州際通商法(1887)の制定となって,連邦政府が初めて民間企業に規制を加えることになった。一方,労働者もアメリカ労働総同盟(AFL)を組織し,熟練労働者の生活水準の向上と労働条件の改善に努力した。…

※「州際通商法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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