巡・廻・回(読み)めぐり

精選版 日本国語大辞典の解説

めぐり【巡・廻・回】

〘名〙 (動詞「めぐる(巡)」の連用形の名詞化)
① かこみ。周囲。
(イ) かこみ。ぐるり。また、垣など。
※享和本新撰字鏡(898‐901頃)「 周也 加支乃女久利」
※源氏(1001‐14頃)幻「木のめぐりに帳をたてて」
(ロ) あたり。近辺。
※催馬楽(7C後‐8C)鷹の子「御栗林の 女久里(メクリ)の鶉狩らせむや」
※宇津保(970‐999頃)蔵開上「このめぐりに住まずなりにけんは」
② ある物のまわりを移動すること。行道(ぎょうどう)すること。
※栄花(1028‐92頃)もとのしづく「ちごどものめぐりするとも見えたり」
③ 一定の順序でまわること。回転。循環。
※仮名草子・浮世物語(1665頃)五「四季のめぐりいにしへ今少しも違はず」
④ 月経をいう女房詞。おめぐり。
※人情本・春色梅美婦禰(1841‐42頃)二「経水(メグリ)が久閉(わるい)から母人(おっかア)に隠して」
⑤ すりこぎをいう女房詞。おめぐり。〔女言葉(1722)〕
⑥ 酒盛り。酒宴。
※洒落本・温泉の垢(1798頃)「よぴてめぐりする脇さいて酌とって」
⑦ 宮中で、夏の土用中に供えられた、みそ煮の団子。おめぐり。
※御湯殿上日記‐慶長三年(1598)八月二五日「大御ちの人よりめくりまいる」
⑧ あちらこちらに考えを及ぼすこと。あれこれと考えること。
※地を潤すもの(1976)〈曾野綾子〉一三「老化によってややめぐりの悪くなっている考えが」

めぐ・る【巡・廻・回】

〘自ラ五(四)〙
① あるものを中心にして、円を形づくる。物の周囲をひとまわりするようにとりかこむ。
(イ) 平面的にぐるりとかこむ。
※万葉(8C後)一七・三九八五「射水川 いゆき米具礼(メグレ)る 玉くしげ 二上山は」
※大唐西域記巻十二平安中期点(950頃)「宮を環(メクリ)て城を築いて」
(ロ) 立体的に回転する。
※西大寺本金光明最勝王経平安初期点(830頃)九「日は〈略〉此の経王の力に由りて、暉を流して四天を遶(メグル)
※竹取(9C末‐10C初)「つばくらめ子産まむとする時は尾をささげて、七度めぐりてなむ産み落すめる」
② 周囲をまわる。一定の経路を経て移動する。
(イ) 移動して、一巡する。
※地蔵十輪経元慶七年点(883)八「輪宝前に道びきたるを後に余の宝随ひて四大洲を巡(メグル)
※源氏(1001‐14頃)若菜下「さかづきのめぐりくるもかしらいたく覚ゆれば」
(ロ) 読経などしながら仏像のまわりを歩く。行道(ぎょうどう)する。
※書紀(720)斉明四年一一月(北野本訓)「馬、自づからに寺の金堂に行道(メクル)
(ハ) 一定の軌道に乗って、あるいは、一定の経路の中を移動する。循環する。
※小学入門(甲号)(1874)〈民間版〉「地球は日を周(メグ)りて転じ月は地球に随ひて環(メグ)る」
(ニ) あることを中心としてそれに関連する。まつわる。「そのことをめぐって議論する」
※浮雲(1887‐89)〈二葉亭四迷〉三「母の言葉の放った光りに我身を縈(メグ)る暗黒を破られ」
③ あちこちに移動する。
(イ) あちこち歩きまわる。あちこち動きまわる。
※万葉(8C後)二〇・四三三九「国米具留(メグル)獦子鳥(あとり)(かま)(けり)行きめぐり帰(かひ)り来までに斎(いは)ひて待たね」
※漢書楊雄伝天暦二年点(948)「既に祭行、介山に遊き、安邑を回(メクル)
(ロ) 思いや考えが去来する。あれこれと考える。
※海道記(1223頃)橋本より池田「興望は旅中にあれば、感腸頻に廻て、思、休みがたし」
④ 時が一定の法則によって経過する。時が周期的に到来する。再びその時になる。
※蜻蛉(974頃)下「年月のめぐりくるまのわになりて思へばかかるをりもありけり」
⑤ 時間を経過して再びその状態になる。幾度もこの世に生まれてくる。輪廻する。
※源氏(1001‐14頃)葵「おとど・宮なども、深き契ある中は、めぐりても、絶えざなれば」
⑥ (「世にめぐる」の形で) この世に生きる。俗世に生きている。
※源氏(1001‐14頃)手習「われかくてうき世の中にめぐるともたれかは知らむ月の都に」

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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