中国、西晋(せいしん)の文人。字(あざな)は太冲(たいちゅう)。斉(せい)国臨淄(りんし)(山東省臨淄県)の出身。家柄低く容貌(ようぼう)醜かったため文学に精力を傾ける。妹芬(ふん)が武帝の貴嬪(きひん)となったため都の洛陽(らくよう)に移る。ここで10年の歳月を費やして「三都(さんと)の賦(ふ)」をつくる。時の名士たちがその序や注釈をつくって賞揚したため、上流社会は競って伝写した。そのために洛陽の紙価が高騰したという。この賦は漢の班固(はんこ)の「両都の賦」、張衡(ちょうこう)の「西京の賦」「東京の賦」「南都の賦」と同じく、主客の問答に託して蜀(しょく)、呉(ご)、魏(ぎ)の都の壮観を誇示したもの。詩は「詠史」8首、「招隠(しょういん)」2首が優れている。『左思集』5巻があった。『晋書』巻92に伝がある。
[小尾郊一]
『小尾郊一著『全釈漢文大系26 文選1』(1974・集英社)』▽『花房英樹著『全釈漢文大系28 文選3』(1974・集英社)』
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…王粲,曹植の詩は,ともに春秋秦の穆公(ぼくこう)に殉死した3人の忠臣の話をうたっている。この種の詩は歴史に借りて時事を風刺することが多く,3世紀末晋の左思の〈詠史詩〉8首はその典型といえる。彼は多くの史上の人物のイメージを通して,当時の厳しい門閥貴族制に対する憤懣を吐露している。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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