出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
寄席(よせ)用語。現在東京の寄席では、落語のほかの諸演芸(漫才、音曲(おんぎょく)、奇術、紙切り、曲芸、声帯模写など)をさして色物といっている。江戸時代には百眼(ひゃくまなこ)、八人芸、写し絵なども色物として行われた。しかし、文化年間(1804~18)に講釈師が落語を色物とよんだこともあり、近代に及んで、講談、落語、義太夫(ぎだゆう)、浪花節(なにわぶし)など寄席の中心をなす演芸に対して、色どりとして加入する他の演芸を色物というようになった。色物の語源については諸説があるが、関西では演芸場のことを色物席とよんでいる。
[関山和夫]
『南博・永井啓夫・小沢昭一編『芸双書1 いろどる―色物の世界』(1981・白水社)』
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…多くの所作事と人気狂言が,猿芝居,曲馬また種々の細工物などのかたちで〈見世物化〉されているし,江戸末期に子供曲持の鉄割熊蔵(弥吉)一座が演じた〈葛の葉障子の曲〉(歌舞伎の《葛の葉》子別れの場の曲芸化)のように,サーカスの〈ゲソ(足芸)〉に受け継がれて,今日でも木下サーカスの十八番として演じられているような例もある。 また今日,見世物芸の伝承を色濃くみてとることができるもう一つのものは,寄席のいわゆる〈色物〉であろう。皿廻しなどのいわゆる〈太神楽曲芸〉,曲独楽,声帯模写,百面相などは,実質的にはまったく同じものを,江戸期の見世物にみることができるし,寄席の歴史を明治から江戸へとさかのぼるならば(寄席),むしろ寄席芸は,見世物=寄席芸=大道芸といった相互連鎖の可逆的流動のなかで,とらえるべきだと思われる。…
…そして,芸風と寄席の興行方針が対照的となった。〈桂派〉は伝統を守って地味な行き方をとり,素噺を尊重して話芸の特色を維持し続けたが,〈浪花三友派〉は派手で娯楽性を十分に盛りこんで多彩な色物をも寄席の世界に導入した。この2派の対抗意識は,おのずから芸の力を向上させ,寄席興行の発展にいちじるしく貢献したのであるが,1910年に興行師の手によって〈反対派〉と称する一派ができて寄席興行は混乱していった。…
※「色物」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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