市町村制(読み)しちょうそんせい

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

市町村制
しちょうそんせい

住民に最も身近な基礎的自治体の制度。1888年(明治21年)4月に市制及町村制が交付され,翌 1889年4月より施行された。当時は市が 39,が 1万5820。第2次世界大戦後,1953~56年の町村合併により合併・統合が進み,1957年4月市が 500,町が 1918,村が 1448,1996年4月には市が 666,町が 1990,村が 576となった。平成の大合併後の 2010年3月には市が 786,町が 757,村が 184となり,市町村の数は大きく減った。地方自治法上,市は人口が 5万人以上を有し,連続した市街地があることが要件とされるが,町村とは人口要件などを除くと制度上の権限,組織にはあまり大きな違いはない。戦後,日本国憲法のなかで地方自治が保障され,各地方自治体(→地方公共団体)はその長と各議会の議員が住民によって直接選ばれ,独立した地方政府により自主的な行政を行なうことができるようになった。市町村は地方自治体のなかでも身近な行政単位として民主政治の基礎となるべき役割を与えられている。(→地方制度

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防府市歴史用語集の解説

市町村制

 1888年(明治21年)に出された地方自治の基本になる法律です。人口25000人以上を市としていました。この法律は戦後まで続き、1947年(昭和22年)に地方自治法[ちほうじちほう]が出されるまで続いていました。

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世界大百科事典 第2版の解説

しちょうそんせい【市町村制】

市町村は2階層制地方自治制度を構成する基礎的普通地方公共団体であり,都道府県に包括される。日本国憲法改正原案には地方団体種別が規定されていたが,GHQと日本政府の折衝を経て成立した日本国憲法は,地方団体の種別を明示しておらず,それは地方自治法をはじめとする国会制定法にゆだねられている。基礎的普通地方公共団体を市町村に区分する第1次的基準は,その社会経済的構成にある。市となりうるのは,人口5万以上であること,中心市街地形成区域内の戸数が全戸数の6割以上であること,商工業およびその他の都市的業態従事人口と同一世帯構成者人口が全人口の6割以上であること,その他都道府県条例の定める都市的施設等を有することが要件とされる。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

市町村制
しちょうそんせい

地方公共団体としての市・町・村の組織、権限、運営を定めた制度。日本では、1872年(明治5)からの大区小区制、1878年の郡区町村編制法を経て、1888年に市制町村制(明治21年法律第1号)が制定された。その施行前に町村の大合併が強行され、翌年4月、合併で誕生した市町村にその制度が施行され(北海道、沖縄を除く)、自治体としての市町村の制度が確立した。しかし、市町村の事務の多くは国・府県の委任事務で、官の監督を受けて運営する制度であったから、自治体というよりは国の下部団体的性格の強いものであった。その後、有産者だけに認めていた選挙権の拡張や監督の緩和などの改正は行われたが、制度の基本は第二次世界大戦直後まで変わらなかった。
 戦後、1947年制定の地方自治法(昭和22年法律第67号)で、市町村は普通地方公共団体とよぶにふさわしい自治権が与えられ、都道府県もまた自治体とされた。また、国との関係も対等となり、国の一般的監督は廃止された。市・町・村長の公選制、住民の直接請求権なども制度化され、権力的な規制を伴う条例を制定できるなど、地域の統治団体としての性格を有している。しかし、財源が不十分なうえ、国の機関委任事務が多いため、実際には中央各省から種々の統制を受けてきた。そこで、市町村の自治を確立するために、権限や財源の移譲が強く要請され、1999年(平成11)7月に地方分権に向けての大幅な法改正(地方分権一括法)が行われた。2010年3月時点で、市786、町757、村184、ほかに東京特別区23。[高木鉦作・辻山幸宣]
『中川剛著『地方自治制度史』(1990・学陽書房) ▽高寄昇三著『地方分権と大都市』(1995・勁草書房) ▽福島正夫著『福島正夫著作集 第9巻 地方制度』(1996・勁草書房) ▽国文学研究資料館史料館編『町村制の発足』(1999・名著出版) ▽都丸泰助著『現代地方自治の原型――明治地方自治制度の研究』(2000・大月書店) ▽松沢裕作著『明治地方自治体制の起源』(2009・東京大学出版会)』

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世界大百科事典内の市町村制の言及

【字】より

…行政区画の単位で,大字と小字とがあり,ふつう,字というのは小字である。元来は狭い範囲の土地の名であった。古代における〈あざ〉の意義は定かではない。《和名抄》では〈くろ(畔)〉のことを〈あぜ〉と読む例も見える。〈あぜ〉はかつて〈あ〉ともいわれているから,〈あぜ〉という語が出現する以前に〈あざ〉という言葉があったであろうという想像も成り立つ。したがって,〈あ〉を〈せ(塞)く〉ということから小区画の土地を意味するという説もある。…

※「市町村制」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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