建築物の建築、大規模修繕工事などを行う場合に、建築基準法に基づいて行われる工事着工前の建築確認業務、工事中の中間検査業務、および工事完了後の完了検査業務などを行う行政機関。ただし、建築主事は都道府県知事や市区町村長からは独立した別個の機関であり、主事が行った確認や不作為に対する責任は主事が負う。
建築主事は、都道府県および人口25万人以上の政令指定都市、建築主事の設置について都道府県知事と協議の調った市区町村などに置かれる。建築主事の構成員は、旧建設大臣の行う建築主事資格検定に合格した吏員のなかから、それぞれの都道府県知事、市区町村長が任命することになっていたが、確認申請にかかわる業務が、量的にも質的にも建築主事の処理能力の限界に達していたこと、さらには1990年代後半の公的規制緩和の流れを受けて、1998年(平成10)に改正された建築基準法によって、建築主事の業務の民間開放が行われた。このため、これまでは建築主事にのみ限定されてきた確認申請、中間検査、完了検査の三つの業務が、国土交通大臣の指定を受けた指定確認検査機関においても実施できるようになった。
これによって従来の建築主事資格検定は、建築基準適合判定資格者検定となり、受検資格は公務員および公務員以外の民間の一級建築士の資格保有者にまで拡張され、2年間の確認検査等の実務経験者を対象としている。特定行政庁(建築主事を置く地方公共団体とその長)では、検定に合格し、建築基準適合判定資格者登録を受けた者のなかから建築主事を任命するが、指定確認検査機関においては資格者登録を受けた者のなかから、同機関が確認検査員を任命することになった。建築主事と確認検査員は同じ業務を行うが、所属先が違うため名称が異なっている。
[秋山哲一]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
… 建築基準法は建築自体を規制する法令であり,大別すると,(1)適用範囲,手続関係に関する規定,(2)建築物個々に関する単体規定,(3)建築物の集団としての整合性を求める集団規定(建築密度など),(4)そのほか建築協定,建築審査会などに関する規定などになる。手続に関しては,建築行政に関する専門的知識と経験を有する建築主事を置き,建築着工前に建築計画を建築主事に申請して確認を受ける。さらに,竣工後にも同主事の検査を受けて建築物の最低基準を保証することになる。…
※「建築主事」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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