精選版 日本国語大辞典 「干・乾」の意味・読み・例文・類語
ほ・す【干・乾】
〘他サ五(四)〙
※万葉(8C後)一五・三七一二「ぬばたまの妹が保須(ホス)べくあらなくにわが衣手を濡れていかにせむ」
② 涙をかわかす。泣くことをやめる。
③ 中をかわかすために、水などをすっかり取り除いたり、または入れないでおいたりして、からにする。「池の水をほす」
④ すっかり飲みつくす。
※曾我物語(南北朝頃)七「その盃を、五郎三度ほしておきければ」
⑤ 飲食をしないで腹の中をからにする。また、飲食物を与えないでほっておく。
※落窪(10C後)二「只今はほさせまほしくぞある」
⑥ 物音などをすっかりなくす。
※報恩録(1474)下「やれ其のをとほせ、静れ、声な出しそ也」
⑦ 人に故意に仕事や役割などを与えないでほっておく。相手にしないで無視する。
※白く塗りたる墓(1970)〈高橋和巳〉一「彼はしばらく休息せよという形でホサれていた」
ひる【干・乾】
① 水分が蒸発してなくなる。かわく。からびる。ひあがる。
※万葉(8C後)五・七九八「妹が見しあふちの花は散りぬべしわが泣く涙いまだ飛(ヒ)なくに」
※太平記(14C後)七「此水いかなる旱(ひでり)にひる事なければ」
② 潮がひく。干潮となる。
※万葉(8C後)一五・三七一〇「潮非(ヒ)なばまたも吾来むいざ行かむ沖つ潮騒高く立ち来ぬ」
③ 果てる。終わる。かたがつく。結論が出る。
※天草本平家(1592)二「イマ ミヨ マイラウズト イワルル コトバ モ マダ finu(ヒヌ) ウチ ニ」
ふ【干・乾】
〘自ハ上二〙 かわく。干(ひ)る。また、潮が引く。
※万葉(8C後)二・一五九「荒妙の 衣の袖は 乾(ふる)時もなし」
ほし【干・乾】
〘名〙 (動詞「ほす(干)」の連用形の名詞化)
① 太陽や火の熱にあてて水分を去ること。また、その度合。
※湯葉(1960)〈芝木好子〉「今日の湯葉は乾しが足りなかったのではなかろうか」
② 「ほしみせ(干店)」の略。
※雑俳・三国力こぶ(1819)「よかろかの・小玉ひねくるこりた干」
ひ【干・乾】
〘名〙 (動詞「ふ(干)」、または「ひる(干)」の連用形の名詞化) ひること。かわくこと。かわき。「ひ(干)が良い、悪い」などと用いられるほか、「ひがた(干潟)」「ひざかな(干魚)」などと熟して用いられる。
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