一定年齢に達した者を家族や親類,友人などが祝うこと。通過儀礼の一つ。数え年61の還暦,70の古稀,77の喜寿,88の米寿,99の白寿などの〈長寿の祝い〉を総称して賀寿,賀の祝い,あるいは算賀というが,庶民の間ではこれを年祝と呼ぶことが多い。つまり以上の〈長寿の祝い〉が年祝の典型である。しかし年祝の年齢はこれのみに限らず,しかもいわゆる厄年とも密接かつ微妙な関係にある。それというのも,奄美や沖縄などの南西諸島のように13,25,37,49,61,73,85といった十二支が巡った年齢をもって年祝を行うところがあるのに対し,本土ではこのうちの13,25,37,61の各年齢を厄年としている地方があるからである。また,宮城県などの東北地方の一部には,年齢の末尾に男子は2,5,8,女子は3,7,9という数字がつく歳を厄年としているところがある。けれどもこの場合,男児の5歳と女児の3,7歳は七五三,13や15歳などは往時の成年式,25や42歳は若者組からの退会,61歳は還暦の年齢に相当する。つまり,ある地方で厄年と称される年齢が,他の地方では年祝の年齢とされたり,あるいは人生における重要で晴れがましい画期となっていることがわかる。したがって,厄年といわれるものの多くは,じっさいには年祝の年齢に当たり,かつまた,それらの厄年にさいして行われる儀礼は,年祝の行事と同質のものとみなすことも可能なのである。
執筆者:平山 和彦
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…そこで,生まれ直すという意味をこめて赤色の衣料品などを本人へ贈り,還暦の祝いをする慣習がある。還暦,古稀,喜寿,米寿,白寿などの年祝を総称して算賀,賀寿,あるいは〈賀の祝い〉というが,古稀以下が中世から祝われたのに対し,還暦の祝いは近世以降の慣習である。なお,かつて60歳か61歳で隠居をする例が多かった一因は,還暦観念に基づくものであろう。…
…また七草,七所祝い,お七夜,初七日,七五三,七つ祝い,七庚申,七墓詣など民俗儀礼ではたいせつな数とされている。 一般に厄年や年祝は精神的肉体的に人生の節目の年齢であり,新旧の世代の移行がなされるため,とくに厄年は影の暗い側面が強く表出しているが,逆に祭礼で厄年の人が神役につく例も多い。厄年は女子は3,7,9のつく数,男子は2,5のつく数とされるが,女子の場合13歳,19歳,33歳,男子の場合は25歳,42歳というのが代表的なものである。…
…厄年になるとそれを避けるために厄払いや厄よけなどの祈願や呪法を行う。年のはじめに親類や近隣の者を招いて年祝をするとか,神社や寺院に参って厄祓いの祈願をするのがふつうであるが,自分の年の数だけの銭を紙に包み,道の辻や橋などの境に持っていって捨てたのち,あとを振りかえらずに帰ってくる呪法が広く行われている。厄年は実子や友人にも影響をあたえると考えられた。…
※「年祝」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
年齢を問わず、多様なキャリア形成で活躍する働き方。企業には専門人材の育成支援やリスキリング(学び直し)の機会提供、女性活躍推進や従業員と役員の接点拡大などが求められる。人材の確保につながり、従業員を...
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