「運歩色葉」でも「米年」を八八歳とするが、「元祿世間咄風聞集」などの記述をもとに「米」を「八十の人」と解し、米寿を八〇歳とする説もある。
88歳のこと,およびその祝い。米(よね)の祝いともいう。一定年齢の者の祝いを民間では年祝といい,日本人の重要な通過儀礼となっているが,米寿はその一つであり,さらに61歳の還暦,70歳の古稀などとともに,長寿を祝う〈賀の祝い〉の代表例でもある。米と書くのは,米という字を分解すると八十八になることに由来し,そこには米に対する日本人の特別な感情がこめられている。一方,末広がりの八の字が二重に使われるところから,八十八という数字そのものが吉事としての印象を人々に与えてきたともいえる。米寿の祝いも古稀や白寿(99歳)と同じく中世以来の伝統があり,親類や知人との間で祝宴や贈答が行われるが,その際に〈八十八の枡搔(ますかき)〉といって,枡に盛った米をならすための枡搔を行って米寿の人が配ったり,あるいは商売人が縁起をかついで,当人から枡搔を作ってもらうなどの習俗があった。
執筆者:平山 和彦
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88歳の長寿の祝賀。米(よね)の祝いともいう。「八十八」の字画を詰めると「米」に通ずるからである。江戸時代以降、親類・縁故者を招き、一家一門の長老の寿福を祝い、あわせて家門の繁栄を喜び合う宴席を催す習俗が行われ、その余風はなおいまに及んでいる。政界、学界、実業界などの長老の賀寿はとくに盛大である。その際、寿福にあやかるために、枡(ます)の斗掻(とかき)や火吹き竹を参会者に贈る習俗が古くはあったが、その理由は判然としない。ともかく還暦(60歳)、古稀(こき)(70歳)、喜寿(きじゅ)(77歳)に次ぐ最終の長寿の祝いとして、久しく行われてきた。その後、卒寿(そつじゅ)(90歳)、白寿(はくじゅ)(99歳)の賀寿が追加され、近年はこれらも定着の傾向がみられる。
[竹内利美]
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出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報
…通過儀礼の一つ。数え年61の還暦,70の古稀,77の喜寿,88の米寿,99の白寿などの〈長寿の祝い〉を総称して賀寿,賀の祝い,あるいは算賀というが,庶民の間ではこれを年祝と呼ぶことが多い。つまり以上の〈長寿の祝い〉が年祝の典型である。…
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出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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