日本大百科全書(ニッポニカ) 「年金信託」の意味・わかりやすい解説
年金信託
ねんきんしんたく
企業等から拠出された掛金を管理運用して従業員等に年金給付を行う信託。日本では1962年(昭和37)の税法改正で、掛金の損金算入が認められてから急速に発展した。税法の要件を満たすものは適格年金とよばれる。1965年から調整年金(一定要件を備えた企業年金で、国家の厚生年金保険の一部を代行するもの)も発足した。制度的には年金数理を使い信託方式によって年金給付を行うが、単独運用指定金銭信託の一種で、信託業務を営む銀行だけに取扱いが認められた。巨額の資金を運用する年金信託は、社会保障の一環を担うとともに、機関投資家としても証券市場に大きな影響力をもっている。2008年(平成20)3月末時点で、その受託残高は36兆3706億円に及んでいる。
[麻島昭一]