年齢構造男女別構造(読み)ねんれいこうぞうだんじょべつこうぞう

改訂新版 世界大百科事典 「年齢構造男女別構造」の意味・わかりやすい解説

年齢構造・男女別構造 (ねんれいこうぞうだんじょべつこうぞう)

人口の男女別構造sex composition(structure)と年齢構造age composition(structure)は,人口学的基本構造と呼ばれる。それは,両者が過去から現在にかけての出生死亡,人口移動の歴史的変化所産であって,かつ将来の人口変動の基本的条件となるという意味において,人口構造の最も基本的なものであるからである。

 男女別構造を決定するものは,出生性比と死亡性比である。出生性比は女児100につき男児105前後で,非常に安定的である。しかし,死亡性比はあまり安定していない。乳幼児期の死亡率は,男子よりも女子において低く,結婚年齢に入るころ,男女別人口は比較的接近する。また,老年期死亡率は,一般に,女子に比べて男子において高い。出生時は,女児よりも男児のほうが多く生まれるが,男の超過死亡率(女の死亡率よりも男のそれが高いため生ずる)のために,男女別の人口はほぼ均衡する傾向がある。戦争移民などのために男の死亡率が非常に多かったりすると人口性比は低くなる。ソ連86.2(1973),東ドイツ87.9(1979)のように90を割るような低い国もあるが,今日,多くの文明諸国では100を若干下回り,発展途上諸国の多くは100より若干高くなっている。

 年齢構造で注目すべきことは,年少人口(0~14歳),生産年齢人口(15~64歳),老年人口(65歳以上)の構成が,国によって,また社会経済発展の段階によって著しく異なっていることである。65歳以上人口が全人口に占める老年人口比率でみると,発展途上の多くの諸国では4%前後と著しく低いのに対して,先進工業諸国ではだいたい10%から16%という高い水準を示している。また,年少人口と老年人口を合計したものを,生産年齢人口で割った従属人口指数age dependency ratioでみると,発展途上諸国では80ないし90といった高い水準にあるのに対して,先進諸国では50ないし60といった水準にある。前者の国々では,年少人口の負担が非常に大きいのに対して,後者の国々では老年人口負担が重いという著しい特徴がみられる。日本人口の老年人口比率は,第2次大戦後しだいに高まりはじめ,1980年に9.1%に達したが,なお欧米諸国に比較すると最低である。従属人口指数も1970年には45,80年には48と著しく低いことが注目される。ただし今後は第2次大戦後まもなくのベビー・ブームに生まれた〈団塊世代〉の高齢化にともない,どちらの数値も急速に高まることが確実である。年齢構造の変化が著しいときは,経済,社会への影響もきびしくなるだけに,その影響と対応への十分な研究が必要である。
人口
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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