共同通信ニュース用語解説 「広域観光周遊ルート」の解説
広域観光周遊ルート
広域エリアで連携し、各地の観光地を結ぶ新たな観光ルートをつくって、海外に売り込む取り組み。自治体や経済、観光団体などが集まる協議会が推進。政府が環境整備やPRの費用に対し半額まで補助する。地方経済の活性化や、政府が目標としている2020年までの訪日客2千万人の達成につなげるのが狙い。
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広域エリアで連携し、各地の観光地を結ぶ新たな観光ルートをつくって、海外に売り込む取り組み。自治体や経済、観光団体などが集まる協議会が推進。政府が環境整備やPRの費用に対し半額まで補助する。地方経済の活性化や、政府が目標としている2020年までの訪日客2千万人の達成につなげるのが狙い。
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共通テーマやストーリー性をもたせ、何日にもわたって滞在し、広域周遊を促す観光ルート。英語名はextensive sightseeing route。おもに外国人観光客を対象とし、長期滞在だけでなく、繰り返し来訪するリピーター数を増やし、域内観光消費を喚起する効果が期待される。世界的に有名なドイツのロマンチック街道などをイメージしたものである。日本では、中部運輸局などが2012年(平成24)、能登(のと)半島を竜の頭に見立てて中部・北陸・近畿9県をめぐる「昇龍道(しょうりゅうどう)」という広域観光周遊ルートを設定。観光庁は2015年以降、全国で11の広域観光周遊ルートと、各ルート内の計31のモデルコースを認定して観光周遊を促している。同時に各地の観光戦略を立てる司令塔として、観光関係団体、旅行業者、交通機関、行政などで構成する日本版DMO(観光地域づくり法人、Destination Management/Marketing Organization)を創設・登録する制度を導入。日本版DMOを軸に、振興計画づくり、観光地でのイベント開催、多言語対応案内板などの整備、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)などによる情報発信を促している。2020年(令和2)10月時点で、日本版DMOは全国に174あり、登録候補も119ある。
日本では、外国人観光客の訪問先が東京から富士山を経て京都・大阪に至る地域(ゴールデンルート)に偏る傾向があり、外国人観光客を地方へ分散し、インバウンド消費を全国へ波及させる目的で設定された。観光庁は全国から応募のあったルートのうち、おおむね四つ以上の都道府県(北海道は4支庁)にまたがる広域観光ルート11を認定した。11ルートは以下の通りである(カッコ内はおもな該当地域)。
(1)「アジアの宝 悠久の自然美への道 ひがし北・海・道」(北海道の旭川(あさひかわ)、富良野(ふらの)、帯広(おびひろ)、知床(しれとこ)、釧路(くしろ)など)
(2)「日本の奥の院・東北探訪ルート」(東北6県と新潟県。十和田(とわだ)、松島(まつしま)、蔵王(ざおう)、会津(あいづ)など)
(3)「昇龍道」(中部・北陸8県と滋賀県。白川郷(しらかわごう)、金沢、飛騨高山(ひだたかやま)、伊勢志摩(いせしま)、富士山など)
(4)「美の伝説」(近畿6府県と鳥取・福井・徳島・三重県。天橋立(あまのはしだて)、京都、大阪城、奈良、熊野(くまの)など)
(5)「せとうち・海の道」(瀬戸内海周辺7県。鳴門(なると)、小豆島(しょうどしま)、しまなみ海道、宮島(みやじま)など)
(6)「スピリチュアルな島~四国遍路~」(四国4県。にし阿波(あわ)、高松、今治(いまばり)、四万十(しまんと)、足摺(あしずり)など)
(7)「温泉アイランド九州 広域観光周遊ルート」(九州7県。阿蘇(あそ)、黒川、別府(べっぷ)、指宿(いぶすき)など)
(8)「日本のてっぺん。きた北海道ルート。」(北海道の稚内(わっかない)、利尻(りしり)・礼文(れぶん)、夕張(ゆうばり)、札幌など)
(9)「広域関東周遊ルート「東京圏大回廊」」(関東1都6県、福島・新潟・山梨・長野県。佐渡(さど)、越後湯沢(えちごゆざわ)、善光寺(ぜんこうじ)、日光、高尾山(たかおさん)など)
(10)「縁(えん)の道~山陰~」(鳥取・島根・山口県。境港(さかいみなと)、出雲大社(いづもたいしゃ)、石見銀山(いわみぎんざん)など)
(11)「Be.Okinawa 琉球列島周遊ルート」(沖縄県、沖縄本島、久米(くめ)島、宮古(みやこ)諸島、八重山(やえやま)諸島など)
国は周遊観光を促す規制緩和を進めると同時に、観光インフラの整備や海外PRの費用を地方創生推進交付金などで補助している。広域観光周遊ルートの設定で、地方を訪れる外国人観光客が増え、来日観光客数は2019年に3100万人を超えたが、一方で、全国各地でオーバーツーリズム(観光公害)などの問題が生じた。
[矢野 武 2021年2月17日]
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