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選炭 せんたんcleaning of coal

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

選炭
せんたん
cleaning of coal

(1) 採掘した石炭を主として物理的,機械的方法によって精炭廃石に分離する操作,(2) 採掘した石を市場の要求に合うように調整する処理技術の総称で,このほかに分粒,混炭,加工利用などの作業を含む。採掘したままの石炭は各種の粒度が混り,かつ,燃料価値の低い粗悪炭および岩石分を含んでいるので,これらの廃石を分離し,粒度をそろえる必要がある。採掘された石炭は選炭場に運ばれて貯炭槽に移され,ここから篩別 (しべつ) 機にかけ,一定の大きさ以上の塊炭は粉砕機にかけて粉砕し,再び篩別機にかける。篩上のものはまた粉砕し,数種の粒度別に分けたものを選炭機にかけて,精炭と廃石に分離する。選炭機は石炭と岩石の比重差に基づいて両者を分離する装置であるが,分離方式によりバウム式,テーブル式,重液式,空気式,浮選式などがある。選炭法の多くは水を使用するので洗炭ともいう。石炭の特性は炭層ごとに異なっているので,2~3の炭層からの石炭を混合して所要の特性を有する精炭を得ることがある。これを混炭といい選炭技術の一種である。輸入強粘結炭と国産弱粘結炭 (→粘結炭 ) を混炭し,鉄鋼用原料炭としているのはこの例である。

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デジタル大辞泉の解説

せん‐たん【選炭】

[名](スル)原炭中に含まれる岩石分を除去し、さらに石炭品質粒子の大きさに応じて分別すること。

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百科事典マイペディアの解説

選炭【せんたん】

採掘した石炭選別・調製して商品化する作業。手選,水選や重液(水より比重の大きい液)選炭などで,混入しているぼたずり)を除き,ふるい分け,分級分級機)により粒度を整える。
→関連項目切込炭鉱山機械炭鉱

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世界大百科事典 第2版の解説

せんたん【選炭】

採掘されたままの石炭(原炭run‐of‐mine coal,raw coal)は一般には炭層の母岩や炭層間に介在する岩石層(挟みpartings)の混入により品質が悪く,また不安定である。そこで,これを商品炭として出荷する前に品質を向上させ,あるいはその安定化をはかるために選別等の処理を施すのがふつうである。この処理プロセスが広義の選炭coal preparationである。広義の選炭は,破砕,ふるい分け,分級などによる粒度調整,石炭とぼた(岩石成分rock)の選別,製品の脱水,混炭などのほか,場合によってはブリケット化などの加工処理を含む多数の操作から成り立っている。

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大辞林 第三版の解説

せんたん【選炭】

( 名 ) スル
掘り出した石炭から不純物を取り除き、粒の大きさ、品質などをそろえてえり分けること。また、その作業。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

選炭
せんたん

石炭を対象とする選鉱であり、採掘された原炭から物理的方法で不用の岩石を選別除去し、さらに大きさ別に分けるなど、市場の要求にあう商品に調整すること。広義にはこれに付随するすべての操作をいう。
 現在、石炭の大部分は、大別して原料炭(コークス用炭)として製鉄用に、また一般炭(燃料炭)として電力その他工場用に使用され、それぞれ市場の要求によって所要の品質(灰分、湿分、硫黄(いおう)分、粒子の大きさなど)が決まってくる。一方、機械化による大量採炭で坑内から搬出されてくる原炭には、石炭だけでなく、「夾(はさ)み」(炭層中の岩石層あるいは炭質頁岩(けつがん)層)のほか、炭層の上下にある岩石も一部混入し、そのままでは所要の品質基準に満たないのが普通である。したがって選炭によって需要に適した精炭を選別、調整することが必要である。
 石炭は金属鉱石と異なり、比較的大きい粒子径で単体分離が進んでいること、粗粒のほうが選別処理能力が大で、したがって選炭経費が安いこと、片刃(かたは)状の中間炭でも2号精炭として商品になることなどの理由から、なるべく破砕しないでそれぞれの粒子径に応じた選別を行う。[麻生欣次郎]

選炭法の種類

塊炭(50~70ミリメートル以上)の選別は昔は手選(てせん)で行われていたが、人件費の上昇および塊炭需要の減少などで現在はほとんど姿を消した。塊あるいは大塊の予備処理が必要な場合は、重液選別によるか、またはブラッドフォードブレーカーBradford breakerを用いる。後者は石炭だけを優先的に破砕し、篩(ふるい)分けによって破砕しなかった岩石を除去する予備選別である。
 石炭の選別法の主体は比重選炭で、微粉炭(約0.5ミリメートル以下の粒子)以外はすべてこれで処理されている。石炭の比重は瀝青(れきせい)炭で約1.3、廃石となる岩石はおもに頁岩で比重約2.5で金属鉱石の場合より比重選別に適している。比重選別にはいろいろの方法があるが、現在選炭にもっとも多く用いられているのは、ジグ選別と重液選別である。このほか一部シェーキングテーブルshaking tableが細粒の選別に用いられている。
 ジグ選別は湿式の比重選別法の一つであり、網の上に供給された原炭の層(ベッドbed)に垂直に水の脈動流を与えることによって、比重の小さい石炭を上に、比重の大きな頁岩を下になるように成層させ、同時にベッドを給炭側から排出端側へ移動させて、連続的に精炭と廃石に分離させるものである。選炭用ジグは水の脈動に空気圧の変動を利用したバウムBaum式ジグであったが、わが国で考案されたタカブジグTACUB jigの原理が逆にドイツで取り入れられ、バタックジグBatac jigとなり、毎時700~800トン処理の大容量の選炭機となった。
 重液選別は、所定の比重(1.35~1.9)に調整された重液中に原炭を投入し、浮上する精炭と沈む廃石とに分離する方法である。重液は比重の大きな固体粉末を水に懸濁させた泥状のもので、石英砂、頁岩や黄鉄鉱の粉末なども用いられるが、現在は磁鉄鉱がおもに使用されている。重液選別は初め粗粒(6~10ミリメートル以上)の選別にのみ使用されていたが、遠心力を利用したサイクロン選別機cyclone washerの開発で細粒(20~0.5ミリメートル)の選別にも用いられている。
 微粉炭の選別は浮選による。石炭は炭素を主とした有機化合物で疎水性であり、親水性の岩石と浮選により容易に選別できる。とくに原料炭は浮選に適しており、その生産量を増すために微粉炭を浮選するのが普通である。浮選剤としては、起泡剤にMIBC(アルコール系)が、また必要に応じて捕収剤に灯油などが使用される。
 各選別機から出た精炭はそれぞれ適切な脱水操作を経て、品質別にポケットpocketに貯蔵し、必要に応じて混炭、品質を調整したうえ積み出す。粗粒の廃石は捨場に堆積(たいせき)する。浮選から出た廃滓(はいさい)は濃縮後、坑内充填(じゅうてん)に用いたり、古洞(ふるとう)(昔採掘した跡の空洞)へ廃棄する。また濃縮したのちさらに脱水して処分する場合もある。[麻生欣次郎]

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