改訂新版 世界大百科事典 「建設統計」の意味・わかりやすい解説
建設統計 (けんせつとうけい)
建設統計は,(1)建設工事が着工され竣工するまでの建設活動を各局面で把握しようとするもの,(2)建設工事の施工者である建設業の構造・経営状況等を把握するもの,および建設工事に要する労働・資材の調達状況等を把握しようとするもの,(3)建設物のストックを把握するもの,の三つに大別される。
(1)建設活動統計としては,まず建設工事を受注ベースでとらえ,企業の投資活動と景気動向把握に資する建設工事受注統計(建設省)がある。この統計は1959年から調査されてきており,とくにA調査(大手43社分)は景気の先行指標(景気指標)として活用されている。次に建設工事を公共,民間土木および建築別に着工ベースでみるため,公共工事着工統計,民間土木着工統計および建築着工統計が実施されている。とくに建築着工統計(建設省)は,住宅をはじめとする建築物のフローに関する日本で唯一の基本統計であり,住宅政策,国民所得統計の推計,景気指標等に広く活用されている。その一部である住宅着工統計では,資金別(公的,民間),利用関係別(持家,貸家,給与住宅,分譲住宅),構造別(木造,非木造)等の毎月の住宅着工戸数が調査されている。また,建設工事を完成工事高でとらえるものとして建設工事施工統計がある。本統計は,建設業者が1年間に完成した建設工事高を,建設業の規模別,業種別,受注形態別,都道府県別に明らかにしている。(2)建設業者の構造等を把握するための統計としては,建設業構造基本調査および建設工事施工統計があり(ともに建設省),事業所数,完成工事高原価,売上高等を,資本金階層別,業種別等に把握している。また建設工事に使用する建設資材量および価格については,生産・出荷・在庫統計および日銀卸売物価指数等の価格統計がある。建設労働については,就業者についての労働力調査など,賃金についての毎月勤労統計などがある(〈労働統計〉の項参照)。(3)建設ストックに関する統計には,道路統計,住宅統計,河川管理統計等がある。住宅統計(建設省)は5年ごとに調査され,利用関係別,建築時期別,構造別,建て方別の住宅ストック戸数,畳数等を明らかにしている。
→経済統計
執筆者:亀山 修
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報