弓削村(読み)ゆげむら

日本歴史地名大系 「弓削村」の解説

弓削村
ゆげむら

[現在地名]竜王町弓削

しよう村・信濃しなの村の西に位置し、北は西流する日野川を境に倉橋部くらはしべ村・東川ひがしがわ(現近江八幡市)など。上弓削と下弓削の二集落に分れる。日野川は当地付近では天井川となり、蛇行しているためたびたび決壊し、また増水時は排水不能となるため浸水も多かった。現在でも下弓削集落では高い土盛の上に建つ家が多い。地名は古代弓削部が住していたことに由来するという。「今昔物語集」にみえる「安義橋」、「梁塵秘抄」でみえる「安吉の橋」は当地と倉橋部を結んで日野川に架かっていたとされる。「江濃記」によれば、応仁二年(一四六八)一〇月三日、六角高頼(山名方)の陣代山内政綱は当地において細川方の将三井信高を討取っている。しかし、同年一一月一〇日の足利義政感状(古証文)によれば「去月晦日於江州弓削」の戦いで信濃守が討死、三沢彦四郎に太刀一振が与えられており、当地での戦いは閏一〇月のこととも考えられる。文明六年(一四七四)九月三日に造立された綾戸あやど苗村なむら神社の鳥居は「弓削兵衛四郎」が寄進している(「棟札」同社蔵)


弓削村
ゆげむら

[現在地名]びわ町弓削

上八木かみやぎ村の東に位置する。地名は古代弓削の部曲の分住したことにかかわるという(東浅井郡志)。観音堂のある満願寺まんがんじ聖徳太子の建立した同名の寺院があった跡といい、周辺には聖町ひじりまちてらうち御坊田おぼでん経田きようでんなどの地名を伝えていた(同書)。現在も寺町てらまちの地名が残る。浅井氏の臣弓削氏が代々居館とした弓削館があったと伝える。永享一一年(一四三九)一二月一〇日の売券(黄梅院文書)に地名がみえる。天正一三年(一五八五)閏八月二一日の山内一豊知行目録(山内文書)にみえる「遊け」は当地と考えられ、同所六〇石が一豊領となっている。


弓削村
ゆげむら

[現在地名]熊本市竜田町弓削たつだまちゆげ武蔵むさしおか

白川右岸の立田たつだ山東側丘陵地にあり、豊後街道に沿い、飽田あきた郡の東端に位置する。東は合志こうし郡大津手永の下津久礼しもつくれ(現菊池郡菊陽町)・同郡同手永の弓削村、北は同郡同手永の上津久礼村(現菊陽町)、西は上立田かみたつだ村に接し、南は白川である。建武五年(一三三八)九月二三日の範綱譲状案(詫摩文書)に「ゆけの村」とみえ、詫磨範綱は、重代相伝の私領である当村などを「かう二郎丸」に譲っている。


弓削村
ゆげむら

[現在地名]熊本市弓削町

託麻原たくまばる台地が白川の段丘面へ移行する緩い傾斜地にあり、集落高所部を馬場楠ばばぐす井手が東西に貫流する。慶長九年(一六〇四)九月の検地帳によると畠方四三町余、分米二八九石五斗余、六人の屋敷所有者がおり、屋敷数一〇とある。同一三年の検地帳では田なし、畠方五四町一反余、分米三七〇石六斗余、竈数二四・棟数六五、人数六九、牛馬二四とある。寛永一〇年(一六三三)人畜改帳によれば津久礼組に属し、戸数一一・家数七六、人数六八(うち庄屋一・百姓一一・名子二・下人四・茶売一)、牛馬二四、高三二〇石三斗余であり、西隣の山尻やまじり村は戸数四・家数三二、人数二八(うち庄屋一・百姓三・名子一・下人二)、牛馬九、高九七石九斗余である。


弓削村
ゆげむら

[現在地名]瀬戸町弓削

吉井川を挟んで二日市ふつかいち村の南東にあり、くま(五〇七・八メートル)西麓に集落がある。「備前記」に枝村として寺見てらみ金山かなやま・クラチが載る。慶長一〇年(一六〇五)備前国高物成帳(備陽記)香登かがと庄に村名がみえ、寛永備前国絵図では高一四七石余。慶長一八年和気郡御勘定帳によれば物成三九石余、夫米二石余。「備陽記」によれば山寄り川端の集落で、岡山さかえ(現岡山市)まで道程五里、船路は倉安くらやす川通り岡山京橋(現同上)まで五里。田畠三一町三反余、家数六一・人数四四一。


弓削村
ゆげむら

[現在地名]綾部市五津合いつあい町 弓削

上林かんばやし川中流域、左岸の小支谷に位置する。南方は大栗おおくり(大国峠)を越えて船井郡粟野あわの(現和知町)に至る。旗本城下藤懸氏領。

中世は上林庄の地。村名は文明二年(一四七〇)の浅原村山立目覚(川北家文書)に「一弓削村 大国より今年から立せ申筈也」とみえる。


弓削村
ゆげむら

[現在地名]倉吉市東鴨ひがしがも

長坂ながさか村の南、小鴨おがも川右岸に位置する。村名はかつて当地に品部の一、弓削部が住していたことに由来すると伝える。拝領高は一四五石余、本免は五ツ六分。大野氏、倉吉組士の筒江氏・浅田氏の給地があった(給人所付帳)。享保一九年(一七三四)の鈴木孫三郎所持本「伯耆誌」では高一六〇石、竈数一二、村内に牛頭天王(のちの弓削神社)を祀る。幕末の六郡郷村生高竈付では生高二〇九石余、竈数一二。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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