デジタル大辞泉 「引け」の意味・読み・例文・類語 ひけ【引け】 1 弱みを感じること。ひけめ。「彼は妙な―を感じた」〈佐藤春夫・都会の憂鬱〉2 (「退け」とも書く)その日の勤務が終わって退出すること。「引けの時間になる」3 取引所で、立会時間の最後に行われる取引。また、その値段。立会時間内の売買が終了した状態をいう場合もある。[補説]前場の引けは前引け、後場の引けは大引け1ともいう。4 「引け四つ」の略。5 物事におくれをとること。劣ること。「樊噲、張良なればとて煩ふまい物でもなし、―にも恥にもなる事か」〈浄・文武五人男〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
精選版 日本国語大辞典 「引け」の意味・読み・例文・類語 ひけ【引・退】 〘 名詞 〙 ( 動詞「ひける(引)」の連用形の名詞化 )① 物事におくれをとること。敗北。不首尾。[初出の実例]「上様之御あたりを一寸はなるる事は、何たる武辺をしても、第一之ひけなるに」(出典:三河物語(1626頃)三)② 弱みを覚えること。気おくれ。劣等感。ひけめ。また、不名誉。恥辱。[初出の実例]「重而も有事なれば同心共よくよく下知し給へ。かれらがひけは某がひけ也」(出典:室町殿日記(1602頃)七)③ ( ふつう「退」と書く ) その日の勤務・課業が終わること。また、その時刻。終業。退勤。放課。[初出の実例]「いつもより少々見世を早くひけにして寝かしておくれ」(出典:怪談牡丹燈籠(1884)〈三遊亭円朝〉二一)④ 「ひけよつ(引四)」の略。[初出の実例]「もふひけもうてばよもや御はあるまいと」(出典:洒落本・蕩子筌枉解(1770)秋夜寄丘二十二員外)⑤ ある金額からいくらかを差し引くこと。(イ) 値が下がること。また、割り引くこと。[初出の実例]「あたら小袖にきわづきがすれば、払ふ時に格別ひけがたつ」(出典:談義本・当風辻談義(1753)三)(ロ) 上前(うわまえ)をはねること。[初出の実例]「男芸者は明朝座料をとりにまはりやす、引ケを取られるもんだから、銭で受取るのさ」(出典:洒落本・古契三娼(1787))⑥ 取引市場で、平日の前場・後場の売買取引を終わること。また、その最終の取引。[初出の実例]「十二月限七円八銭より〈略〉七銭六銭七銭引」(出典:朝野新聞‐明治七年(1874)九月二四日)⑦ 製織上の欠点のこと。緯(よこいと)張力のふぞろいによる緯(よこ)引け、経(たていと)張力のふぞろいによる経(たて)引けなどがある。光の反射が異なり光沢がちがう。 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例