引縄(読み)ヒキナワ

デジタル大辞泉 「引縄」の意味・読み・例文・類語

ひき‐なわ〔‐なは〕【引(き)縄/×曳き縄】

物につけて引く縄。引き綱
えさをつけた長い釣り糸を船から垂らして引き回し、魚を捕る方法ブリカツオ釣りなどで行われる。引き縄釣り。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「引縄」の意味・わかりやすい解説

引縄
ひきなわ

釣り漁具類の一種。漁具をさす場合の名称表記としては「曳(ひき)縄」とするのが正しいが、一般には「引縄」の表記が通行している。船尾から釣り糸を伸ばし、航走して釣り糸の先端の釣り針(ばり)に装着した餌(えさ)や擬餌(ぎじ)を生き餌(え)のように動かして魚を誘い釣獲する釣り漁具である。一時に多数の引縄を使用する場合は、船の側方へ竿(さお)を張り出し、5~10具程度を引航する。マグロ、カツオ、ブリ、シイラサワラなど高価な表層性大形魚を目的とする引縄と、潜航板を用いて底層付近や中層にいる魚の遊泳層に釣り針の位置をあわせて引航する引縄とがある。潜航板は餌または擬餌を自然の魚に似せて運動させるためにも使用され、潜航板の良否が漁獲性能の良否を左右する。魚がかかったら、ただちに停船し、すばやく釣り糸を手繰り寄せるが、それには熟練を要する。5トン未満の小型船が大部分で、兼業船が多く漁業としては規模が小さい。遊漁ではトローリングといい、アメリカなどではカジキやマグロを釣るスポーツフィッシングが盛んである。

[笹川康雄・三浦汀介]

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改訂新版 世界大百科事典 「引縄」の意味・わかりやすい解説

引縄 (ひきなわ)
trolling

釣漁具の一種。擬餌針をつけた釣糸を船で引き回し,遊泳力の強い回遊性の魚種を釣りとる。実際の漁業では,2本から7本ぐらい引くので,船の両玄に竹ざおをはり出し,釣具がもつれないように間隔をとる。釣糸は100~200mのばすが,マグロなどの大型魚を対象とする場合は300mに達することもある。また,対象魚種の遊泳水深のところを引くために,所定の位置に釣針を保つように鉛や潜航板を用いることが多い。水深を保つことと,擬餌を巧みに動かして魚を誘うために,潜航板の形状にはくふうが凝らされる。普通はブリ(イナダワラサも),ソウダガツオ,マグロ(メジも),カジキ,シイラなど表層性の魚種を対象とするが,ヒラメ,タチウオ,底層性のサワラなどを対象とすることもあり,底引縄と呼ばれる。漁具が簡単で,大型船も必要としない。欧米ではスポーツフィッシングとしての引縄が盛んだが,近年,日本でもトローリングという名とともに普及しつつある。
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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「引縄」の意味・わかりやすい解説

引縄
ひきなわ
dragrope

釣具類の一種。水平に使用する一本釣具。餌をつけた釣針と釣糸を主体とし,船を走らせながら水平方向へ相当長距離にわたって引いて漁獲する。一般に船の速度は1時間5~15kmで,餌は擬餌か丸餌を用い,針は先の鋭い外方に向いたものを用いる。1隻の船で数本から 12~13本の釣具を操作する。おもな漁獲物はまぐろ類,かつお,かじき,さめ,しいら,さわら,ぶり,さばなど。

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百科事典マイペディア 「引縄」の意味・わかりやすい解説

引縄【ひきなわ】

船を走らせながら釣糸を引いていく釣漁法。トローリングtrollingとも。おもに生餌を追って捕食するマグロ,カツオ,サバ,サワラ,ブリなどを漁獲する。多くは擬餌針(ぎじばり)が使用され,マグロなどでは釣糸を300m近くのばす。釣針を浮かせないための潜行板をつけることが多い。また,ヒラメ,タチウオなど海底に生息する魚種を対象とする場合は底引縄という。

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世界大百科事典(旧版)内の引縄の言及

【一本釣り】より

…一本釣りは最も古くから見られる漁法の一つで,縄文時代の遺跡から骨製の釣針やいわ(沈子)の遺物が多数発見されているので,すでにこのころから行われていたことは確かである。 一本釣りにはさお釣り,手釣り,引縄が含まれる。さお釣りはさおの先に釣糸をつけて釣針を操作するのに対し,手釣りは直接釣糸を手で保持して操作する。…

※「引縄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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