釣り漁具類の一種。漁具をさす場合の名称表記としては「曳(ひき)縄」とするのが正しいが、一般には「引縄」の表記が通行している。船尾から釣り糸を伸ばし、航走して釣り糸の先端の釣り針(ばり)に装着した餌(えさ)や擬餌(ぎじ)を生き餌(え)のように動かして魚を誘い釣獲する釣り漁具である。一時に多数の引縄を使用する場合は、船の側方へ竿(さお)を張り出し、5~10具程度を引航する。マグロ、カツオ、ブリ、シイラ、サワラなど高価な表層性大形魚を目的とする引縄と、潜航板を用いて底層付近や中層にいる魚の遊泳層に釣り針の位置をあわせて引航する引縄とがある。潜航板は餌または擬餌を自然の魚に似せて運動させるためにも使用され、潜航板の良否が漁獲性能の良否を左右する。魚がかかったら、ただちに停船し、すばやく釣り糸を手繰り寄せるが、それには熟練を要する。5トン未満の小型船が大部分で、兼業船が多く、漁業としては規模が小さい。遊漁ではトローリングといい、アメリカなどではカジキやマグロを釣るスポーツフィッシングが盛んである。
[笹川康雄・三浦汀介]
釣漁具の一種。擬餌針をつけた釣糸を船で引き回し,遊泳力の強い回遊性の魚種を釣りとる。実際の漁業では,2本から7本ぐらい引くので,船の両玄に竹ざおをはり出し,釣具がもつれないように間隔をとる。釣糸は100~200mのばすが,マグロなどの大型魚を対象とする場合は300mに達することもある。また,対象魚種の遊泳水深のところを引くために,所定の位置に釣針を保つように鉛や潜航板を用いることが多い。水深を保つことと,擬餌を巧みに動かして魚を誘うために,潜航板の形状にはくふうが凝らされる。普通はブリ(イナダ,ワラサも),ソウダガツオ,マグロ(メジも),カジキ,シイラなど表層性の魚種を対象とするが,ヒラメ,タチウオ,底層性のサワラなどを対象とすることもあり,底引縄と呼ばれる。漁具が簡単で,大型船も必要としない。欧米ではスポーツフィッシングとしての引縄が盛んだが,近年,日本でもトローリングという名とともに普及しつつある。
執筆者:清水 誠
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…一本釣りは最も古くから見られる漁法の一つで,縄文時代の遺跡から骨製の釣針やいわ(沈子)の遺物が多数発見されているので,すでにこのころから行われていたことは確かである。 一本釣りにはさお釣り,手釣り,引縄が含まれる。さお釣りはさおの先に釣糸をつけて釣針を操作するのに対し,手釣りは直接釣糸を手で保持して操作する。…
※「引縄」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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