強制和議(読み)キョウセイワギ

デジタル大辞泉 「強制和議」の意味・読み・例文・類語

きょうせい‐わぎ〔キヤウセイ‐〕【強制和議】

旧法において、破産手続きで、配当に代わる弁済方法として、破産者提供する和議条件を債権者の法定多数で可決し、裁判所認可によって手続きを終了させること。平成12年(2000)の民事再生法施行に伴い和議法が廃止され、強制和議の制度は廃止された。

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精選版 日本国語大辞典 「強制和議」の意味・読み・例文・類語

きょうせい‐わぎキャウセイ‥【強制和議】

  1. 〘 名詞 〙 破産手続途中債権者と破産者が互いに譲歩し、配当以外の方法によって破産手続を終結させること。破産者に再起機会を与え、債権者にも配当より有利な利益を与えようとする制度。
    1. [初出の実例]「破産者は何時にても強制和議の提供を為すことを得」(出典:破産法(1922)二九〇条)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「強制和議」の意味・わかりやすい解説

強制和議
きょうせいわぎ

破産法上の破産手続。旧破産法は、破産宣告の後に、債務の額、支払いの方法などにつき、破産者と債権者とが互いに譲歩して、本来の債権額、支払い方法などと異なるものを定めることによって、破産手続を終結させる破産法上の手続として、強制和議の制度を定めていた(旧破産法290条以下)。破産者・債権者納得のうえで、安価で迅速な、また、破産者にとっては経済的更生を、債権者にとっては有利な配当を得ることの可能な制度として、存在した。この制度は、2004年(平成16年)の破産法改正に伴い廃止された。

[本間義信]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「強制和議」の意味・わかりやすい解説

強制和議
きょうせいわぎ
Zwangsvergleich; enforced settlement

破産手続において,破産者と破産債権者との協定によって配当に代わる弁済方法を定めること。破産的清算が破産債権者にとって必ずしも利益にならないことから,破産者の経済的立ち直りを助けて債権の回収をはかることを目的とした。手続きとしては,破産者が和議の提供をなし,債権者集会において特別多数賛成で可決されれば成立し,裁判所がこれに対して認可決定をすれば効力を生じた。

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世界大百科事典(旧版)内の強制和議の言及

【倒産】より

… 倒産手続の理念は,公明,公正(債権者平等の実現),適正(債務者の保護)かつ迅速な倒産処理にあるが,その方法には,倒産に(ひん)した経済活動を清算して終わらせてしまうもの(清算型)と,これを維持しつつ再建を図ろうとするもの(再建型)に分かれる。日本には前者にあたるものとして破産法による破産と商法による特別清算(〈清算〉の項参照)があり,後者にあたるものとして,破産法による強制和議,和議法による和議,商法による会社整理,および会社更生法による会社更生がある。なお,このほかこのような裁判的手続によらないで,利害関係人の話合いで倒産処理をすることもでき,これを私的整理(内整理,任意整理ともいう)と称する。…

【破産】より

…この後でも,新たに配当すべき相当の財産が出てきたときは,追加配当を行うことがある(283~285条)。(b)強制和議 破産者は,手続中,いつでも,弁済の方法,提供できる担保などの和議条件を定めて裁判所に和議を申し出ることができる(290条以下)。この和議が債権者集会で法定多数(出席債権者数の過半数で届出債権額の4分の3以上)の同意によって可決され,裁判所の認可が得られたときにも,破産終結決定が下されて手続が終結する(324条)。…

【和議】より

…倒産状態にある債務者からの申出により,債権者集会を開いて債務の一部免除,支払猶予などを定めた和議条件を可決することによって,債務者をして経済的に更生させようとするものである。単に和議という場合は,和議法(1922公布)による破産予防の和議(和議法上の和議)をさすが,広義では破産法(1922公布)に規定されている強制和議をも含む。後者はすでに破産宣告を受けた債務者の申出により,和議条件の可決を経て破産手続を終結させるもので,これにより破産者は破産管財人による財産の清算を免れることができる。…

※「強制和議」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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