弾道ミサイル(読み)ダンドウミサイル

デジタル大辞泉 「弾道ミサイル」の意味・読み・例文・類語

だんどう‐ミサイル〔ダンダウ‐〕【弾道ミサイル】

ロケットエンジンを動力として、慣性誘導装置により放物線に近い弾道を描いて飛ぶミサイル射程距離が長く高速度で飛行するため、発見や迎撃が困難となる。弾道弾。BM(ballistic missile)。→ミサイル

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共同通信ニュース用語解説 「弾道ミサイル」の解説

弾道ミサイル

主にロケットエンジンで高高度まで上昇し、放物線を描いて目標地点に落下するミサイル。重量物を遠くに飛ばすことができ核・生物・化学兵器などの大量破壊兵器の運搬手段にもなり、主にジェットエンジンで低空を飛ぶ巡航ミサイルと区別される。北朝鮮は韓国を標的とする短距離「スカッド」や、日本のほぼ全域に届く中距離「ノドン」などを配備。2017年には全米を射程に収める大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」の発射実験に成功したと発表した。国連安全保障理事会決議は、北朝鮮に「弾道ミサイル技術を使用したいかなる発射」も禁止している。(共同)

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百科事典マイペディア 「弾道ミサイル」の意味・わかりやすい解説

弾道ミサイル【だんどうミサイル】

ロケットの初期加速力のみで上昇後,噴射を停止し,以後は次第に地球重力により,弾道を描いて飛行するミサイル。十分な初期加速度を与えるため弾頭重量に比例した強力なロケットが必要。射程により大陸間弾道ミサイル中距離弾道ミサイル短距離弾道ミサイルなどがある。なお平和利用ロケットとの違いは長期保存と緊急発射可能なこと。→多弾頭ミサイル弾道ミサイル早期警戒組織
→関連項目SDI慣性誘導巡航ミサイル戦略兵器削減条約短距離弾道ミサイルテポドンノドンパーシング陸軍戦術ミサイルシステム

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知恵蔵 「弾道ミサイル」の解説

弾道ミサイル

砲弾のように弾道を描いて飛ぶミサイルを弾道ミサイルという。ミサイルには、ほぼ直線を描いて飛ぶものや、地表面に対して水平飛行するものもあるが、弾道ミサイルは高い角度で打ち上げられ、ロケット燃料などにより加速上昇し、後は慣性に従って飛行し落下着弾する。航跡が弾道、すなわち高く打ち上げた砲弾のように放物線やだえんの弧に近い形であることから弾道ミサイルまたは弾道弾という。
射程は短いものでも数百km、長いものでは大陸間弾道ミサイルのように数千kmから1万kmを超えるものもある。長距離弾道ミサイルの弾道の最高点は高度約1千kmと、大気圏外に達し、大気圏に再突入する際の速度は毎秒数kmになる。このため迎撃は非常に困難だが、標的への誘導にも高い技術が求められる。ミサイルの半数が的中する精度は数百mから数kmの範囲といわれる。このために、破壊力の大きな核弾頭や生物・化学兵器などが搭載されることが多い。
史上初の弾道ミサイルは、ナチス・ドイツがイギリスやベルギーなどを攻撃するために開発したV2ロケットである。この技術をもとに東西冷戦期には米ソが競って開発を進め、北米大陸とユーラシア大陸の間を海を越えて攻撃できる大陸間弾道ミサイルが多数配備された。現在では中国も大陸間弾道ミサイルを保有し、北朝鮮のテポドン2号も長距離弾道ミサイルであると考えられている。短距離弾道ミサイルも含めると保有する国は数十カ国に上り、紛争当事国にも売却されて実戦使用もされている。これらに対する懸念から「ミサイル関連技術輸出規制」(MTCR)や「拡散に対する安全保障構想」(PSI)が提唱されているが、決定的な抑止の効果を持つには至っていない。

(金谷俊秀 ライター / 2009年)

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「弾道ミサイル」の意味・わかりやすい解説

弾道ミサイル
だんどうミサイル
ballistic missile

ロケットで加速され,大気圏の内外を弾道を描いて飛ぶミサイル。その先端には核弾頭または通常弾頭が装備される。このミサイルはロケットで加速され,ジャイロスコープと加速度計を感知器とする誘導機構によって,所定の位置 (砲口に相当) で所定の速度 (初速に相当) になったとき,ロケットの噴射が止められ,ミサイルは自由弾道を描いて目標に向って飛ぶ。初めて実戦で用いられたのは,第2次世界大戦中のドイツのV-2号 (→V兵器 ) で,主としてロンドン攻撃に使用された。秒速 1000m内外で目標地域に落下していったため,1発も撃墜されなかった。戦後主として米ソで大きな進歩をとげ,戦略用としては,ICBMSLBMIRBMなどがあり,戦術用としては SRBM (短距離弾道ミサイル) ないし戦場用弾道ミサイルなどがアメリカ,ソ連,イギリス,フランス,中国,イスラエルなどで実用化された。

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世界大百科事典(旧版)内の弾道ミサイルの言及

【ミサイル】より

…一方,V2を基礎とする,原爆を運べる大型長距離ミサイルの開発の可能性は,新しい技術や工業に多額の投資を要するわりに誘導精度が上がらず,このため1947年ミサイル開発計画を中止し,陸軍で小型ロケットの研究を続けるにとどまった。しかし,52年水爆が開発され,地対空ミサイル〈ナイキ〉がテストで戦略爆撃機に対する有効性を実証し,またソ連が大陸間弾道ミサイルintercontinental ballistic missile(略号ICBM)開発に大規模に取り組んでいるらしいとの情報等にかんがみ,ICBMの重点開発が検討され,その結果54年から〈アトラス〉の設計・製造を開始した。 ソ連は1949年原爆の実験に成功すると,その運搬手段としてV2を基礎にミサイルの研究・開発を着々と進め,57年8月ICBM完成を発表した。…

※「弾道ミサイル」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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