軸対称なこまを重心で摩擦なく支えた装置。回転儀ともいう。適当な外力を加えるとこま独特の意外なふるまいをするので,こまの力学的性質を示す実験具として用いられる。また実験具としてのジャイロスコープのほかに,機械類の中に組み込まれたきわめて精度の高いこまをジャイロスコープ(単にジャイロということも多い)と呼ぶことがあるが,この場合には回転儀とはいわない。
構造は,互いに垂直な軸のまわりに回転することのできる3個の金属環の内側に,金属製の回転子(または転輪)を支え,回転子の回転軸が空間の任意の方向をとりうるようにしてある。ジャイロスコープは,(1)モーメントが働かなければ回転軸は空間で一定方向を保つ,(2)回転軸に直角に力を加えると回転軸は力の方向と直角な方向にふれる,すなわち回転軸に直角にモーメントを働かせると回転子は回転軸とモーメントの軸の両方に直角な軸のまわりに歳差運動を起こす,(3)歳差運動の妨害に対しては反作用はないなどの性質をもっており,実用面ではジャイロコンパスなどの航海・航空計器やジャイロスタビライザーなどに利用されている。
→独楽(こま)
執筆者:小野 健一
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