彼岸花(読み)ヒガンバナ

デジタル大辞泉 「彼岸花」の意味・読み・例文・類語

ひがん‐ばな【彼岸花】

ヒガンバナ科多年草土手や田の畦に生える。秋の彼岸のころ、高さ約30センチの花茎を伸ばし、長い雄しべ・雌しべをもつ赤い6弁花を数個輪状につける。花の後、線形の葉が出て越冬する。有毒植物だが、鱗茎りんけいを外用薬とする。曼珠沙華まんじゅしゃげ死人花しびとばな。捨て子花。石蒜せきさん天蓋花てんがいばな。天涯花。幽霊花。かみそりばな。 秋》
[補説]ヒガンバナ科の単子葉植物は約860種が主に熱帯亜熱帯に分布する。多年草で、鱗茎をもち、葉は根生し線形。花被は6枚あり、子房下位。ヒガンバナ・スイセンアマリリスなどが含まれる。

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精選版 日本国語大辞典 「彼岸花」の意味・読み・例文・類語

ひがん‐ばな【彼岸花】

  1. 〘 名詞 〙 ヒガンバナ科の多年草。中国原産といわれ、古く日本に渡来し、本州以西の各地の土手、路傍墓地などの人家の近くに生え、また、まれに栽培もされる。高さ三〇~五〇センチメートル。地中ラッキョウに似た鱗茎があり外皮は黒い。秋、葉に先だって花茎が伸び、頂に六個の花被片をもつ赤い花が数個輪生状に集まって咲く。花被片は長さ約四センチメートルの披針形で外側に巻き縁がちぢれている。花後、鱗茎から線形の厚い葉を叢生する。古くは救荒作物の一つとされていた。全草に有毒成分を含むが、煎汁を腫れもの・疥癬(かいせん)などに塗ると効果がある。漢名、石蒜。まんじゅしゃげ。しびとばな。てんがいばな。ゆうれいばな。すてごばな。はみずはなみず。《 季語・秋 》 〔和漢三才図会(1712)〕

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デジタル大辞泉プラス 「彼岸花」の解説

彼岸花

1958年公開の日本映画監督小津安二郎出演佐分利信田中絹代、有馬稲子ほか。小津安二郎監督としては初のカラー作品。

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動植物名よみかた辞典 普及版 「彼岸花」の解説

彼岸花 (ヒガンバナ)

学名Lycoris radiata
植物。ヒガンバナ科の多年草,園芸植物,薬用植物

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世界大百科事典(旧版)内の彼岸花の言及

【小津安二郎】より

…戦後は笠智衆と原節子とを主演に迎えた《晩春》(1949),《麦秋》(1951),《東京物語》(1953)が名高いが,いずれも野田高梧との共同脚本。カラー時代に入っての《彼岸花》(1958)や《秋日和》(1960)では物語性が極度に希薄となり純粋な抽象性に近づくが,同時にかつての大学生が会社重役や大学教授となって登場してナンセンス喜劇の味を回復する。技法的には,移動撮影やパン,フェードイン,フェードアウトなどを排し,低い固定画面に終始したが,その技法的単調さに見合った細部の多義的表情を大胆な省略法で描き,〈間〉による運動感覚の表現はメロドラマをきびしく排することになる。…

※「彼岸花」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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