デジタル大辞泉 「徒言」の意味・読み・例文・類語 あだ‐ごと【▽徒言】 実じつのないあてにならない言葉。うそ。「たはぶれにても、人の御―など、聞こえ給ふべくなむあらぬ」〈宇津保・藤原の君〉 ただ‐ごと【▽徒言/×只言】 《古くは「ただこと」》技巧などを用いない、ありのままの言葉。歌語でも比喩でもない日常の言葉。「これは、―に言ひて、物にたとへなどもせぬものなり」〈古今・仮名序〉 いたずら‐ごと〔いたづら‐〕【▽徒言】 無意味な言葉。無用の言。「つれづれと―を書きつめて」〈千載・雑下・詞書〉 出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例 Sponserd by
精選版 日本国語大辞典 「徒言」の意味・読み・例文・類語 あだ‐ごと【徒言・徒事】 〘 名詞 〙 ( 「あだこと」とも )[ 一 ] うその言葉。まごころのない言葉。[初出の実例]「 伊豆波利己止。又阿太己止」(出典:新撰字鏡(898‐901頃))「あだことにただいふ人の物がたりそれだに心まどひぬるかな」(出典:建礼門院右京大夫集(13C前))[ 二 ]① はかないこと。ちょっとした、つまらないこと。[初出の実例]「たはぶれにても、人の御あだことなど、きこえ給ふべくなんあらぬ」(出典:宇津保物語(970‐999頃)藤原の君)② 色ごと。浮気。情事。[初出の実例]「世の常のあだ事のひきつくろひ飾れるにおされて、業平が名をや腐(くた)すべき」(出典:源氏物語(1001‐14頃)絵合)③ むだなこと。役に立たないこと。[初出の実例]「みつあやが謀(はかりこと)は、あだ事となりにけり」(出典:洒落本・淫女皮肉論(1778)吉原の千疋犬)徒言の語誌「徒言」と表記されていれば、[ 一 ]と考えられるが、現実には仮名表記が多く、「徒事」つまり、[ 二 ]との区別がつきにくい。「日葡辞書」でも同一語に[ 一 ]および[ 二 ]①の意味を記している。なお、「日葡辞書」では、アダコトと、コトは清音であるから、アダゴトとなるのは近世以降と考えられる。 ただ‐ごと【徒言・只言】 〘 名詞 〙 ( 古くは「ただこと」。飾らない、日常ふつうのことばの意 )① 技巧や比喩を使わないでありのままに表現したことば。なんということもない平凡なことば。ただことば。[初出の実例]「これはただ事に言ひて、物に喩へなどもせぬものなり」(出典:古今和歌集(905‐914)仮名序)② 和歌によらない言いかた。また、歌語でない日常語。和歌的でない、ふつうの日常会話。[初出の実例]「ただごとにはうるさく思ひつよりて侍りし。けさのさま、いかに侍らまし、などぞ笑はせ給ふ」(出典:枕草子(10C終)二七八)③ ( 「ただこと」という ) =ただことば(徒言葉)②[初出の実例]「又、ただこと、白声共云」(出典:申楽談儀(1430)音曲の位の事) いたずら‐ごといたづら‥【徒言】 〘 名詞 〙 価値のないことば。表現、伝達などを十分果たさない言語行為。無用の言。[初出の実例]「つれづれと、いたづらごとを、かきつめて〈源俊頼〉」(出典:千載和歌集(1187)雑下・一一六〇) 出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報 | 凡例 Sponserd by