御冷(読み)おひや

精選版 日本国語大辞典 「御冷」の意味・読み・例文・類語

お‐ひや【御冷】

〘名〙
① (女房詞おひやし(御冷)」の略) 水。おもに冷たい飲み水。もともとは敬意の高い女性語であったが、江戸時代には単に丁寧な表現として、男女に関係なく一般に使われるようになった。〔女房躾書(室町末)〕
※初すがた(1900)〈小杉天外〉五「お冷水(ヒヤ)一杯お呉れな」
② (「冷御膳(ひやごぜん)」の下略語接頭語「お」を付けたもの) 冷えた御飯。ひやめし。
滑稽本八笑人(1820‐49)二「ろくに飯といふものをくはねへから、お冷(ヒヤ)がどんと有からちゃうどいい」

お‐ひえ【御冷】

〘名〙 (「お」は接頭語)
① 麻、もめん等の綿入れ夜着。裏に越後産の裏を付けるが、北国は寒く、冷えるところからいう。きたのもの。つめた。〔日葡辞書(1603‐04)〕
慶長見聞集(1614)三「麻ぬのを色々に染、わたを入おひへと云て上着にせしなり」
② 冷や飯のこと。
人情本・恩愛二葉草(1834)初「早く此の御飯(オヒエ)を拵へ遣りませう」

お‐ひやし【御冷】

[1] 〘名〙 (「お」は接頭語)
① 水、特に飲み水をいう女房詞。おひや。おつべた。おつめた。〔大上臈御名之事(16C前か)〕
② 「そうめん(索麺)」の異名。〔女房躾書(室町末)〕
[2] 狂言和泉鷺流。主が水のことをおひやしといったので太郎冠者はその上品ぶったことばを笑い、二人でおひやしがいい、いや、水がいいと古歌を引いて言い争う。

お‐つめた【御冷】

〘名〙 (「お」は接頭語) 水をいう女房詞。おひや。おつべた。〔女中詞(元祿五年)(1692)〕

出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報

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