復興予算(読み)ふっこうよさん

共同通信ニュース用語解説 「復興予算」の解説

復興予算

東日本大震災で被災したインフラ復旧や災害公営住宅建設、東京電力福島第1原発事故への対応などの事業に充てる予算一般会計ではなく、特別会計で管理している。財源所得税増税など。原発事故の除染費用などは、東電に請求する。政府復興期間を当初10年間としていたが、5年延長し、2011~15年度を「集中復興期間」、16~20年度を「第1期復興・創生期間」、21~25年度を「第2期復興・創生期間」と位置付けている。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「復興予算」の意味・わかりやすい解説

復興予算
ふっこうよさん

大災害や戦争などからの復旧・復興にあてる予算。破壊された道路、鉄道、空港、上下水道、学校、病院、公園、防波・防潮堤河川港湾など公共インフラの整備のほか瓦礫(がれき)の処理、住宅の移転・再建、住民の生活再建、被災者の生活支援、産業の復興などに使われる。観光振興、風評被害の防止、防災教育、被災者の求職支援や健康管理などのソフト分野にも充当される。財源は通常、予算の組み替え、臨時増税、政府資産売却、復興国債の発行などでまかなわれる。災害などは突発的に起きるため、復興予算の第1弾は補正予算で編成されることが多い。また、財政支出が巨額にのぼることから、一般会計と切り離した特別会計(復興特別会計)で運用されることが多い。過去の大規模災害時の復興予算規模をみると、関東大震災(1923)で約6億円(当時の国家予算の3分の1強)、阪神淡路(あわじ)大震災(1995)では当初5年間で約9.2兆円(被害総額約10兆円)。東日本大震災(2011)では発生から10年間で約31.3兆円を投じ、2025年度までの15年間の予算規模は32.9兆円となる見通し。

 復興予算は、復興を計画的に進めて予算のむだを省くため、2012年度(平成24)からは復興特別会計で管理している。財源は25年間の所得増税(復興特別所得税。税額の2.1%上乗せ)、10年間の個人住民増税(1人年1000円上乗せ)、2年間の法人増税(復興特別法人税、10%上乗せ)のほか、日本たばこ産業や日本郵政の株式などの政府資産の売却、国家公務員の給与2年間削減(平均7.8%)などである。しかし用地買収の遅れや人手不足などから、毎年使い残しがあって翌年度以降に回されたほか、東日本大震災とは直接関係がない事業に復興予算があてられていた実態も発覚した。

[編集部 2020年11月13日]

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