風評被害(読み)フウヒョウヒガイ

デジタル大辞泉の解説

ふうひょう‐ひがい〔フウヒヤウ‐〕【風評被害】

根拠のない噂のために受ける被害。特に、事件事故が発生した際、不適切な報道がなされたために、本来は無関係であるはずの人々や団体までもが受ける損害のこと。
[補説]例えば、ある会社の食品が原因で食中毒が発生した場合、その食品そのものが危険であるかのような報道のために、他社売れ行きにも影響が及ぶことなど。

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百科事典マイペディアの解説

風評被害【ふうひょうひがい】

根拠のない噂,流言蜚語(りゅうげんひご),デマによる被害で,とくに大災害,事故,事件の発生時にしばしば深刻な事態を引き起こす。関東大震災の際の数千人をこえる朝鮮人虐殺(200人をこえる中国人も虐殺された)は,大災害時のデマの最悪の事例である。デマの出もとは,当時の内務省,警察庁とも言われている。現代では,情報化社会の進展にともない,マスメディアや携帯電話を含めインターネットメディアが風評の媒体となって瞬時に被害が社会全体に拡がる危険性がある。2011年3月に発生した東日本大震災福島第一原発の大事故では,さまざまな風評が流され,被災地や被災地周辺の人々を苦しめた。とりわけ原発事故の風評の影響は深刻で,農産物,水産物などの食品にかかわる風評被害が続出,人権被害すら生まれた。影響は海外にまで拡がった。インターネットメディアが大きな力を持つ社会では,デマや風評を根絶することは困難だが,災害や事故発生時の危機管理に一元的に責任を持つ政府をはじめ行政組織が迅速で正確な情報を社会に的確に伝え,メディアがそれをサポートすることが何よりも求められる。

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大辞林 第三版の解説

ふうひょうひがい【風評被害】

事故や事件の後、根拠のない噂うわさや憶測などで発生する経済的被害。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

風評被害
ふうひょうひがい

間違った情報や意図的なデマだけでなく、根拠の不確かな噂(うわさ)やあいまいな情報をきっかけに生じる経済的損害。物やサービスの売上げ不振や輸出停止のほか、観光客減少などの被害が生じる。品質や安全性にまったく問題のない場合でも起きるため、正確な情報を迅速に提供することが、風評被害の防止や早期払拭(ふっしょく)につながるとされる。1973年(昭和48)に女子高生の噂話をきっかけに豊川信用金庫で取り付け騒ぎが起きた事件や、1996年(平成8)の腸管出血性大腸菌O157集団感染で原因とされたカイワレダイコンの買い控えが全国に広がった問題などが、風評被害にあたる。
 2011年(平成23)3月の東日本大震災で発生した福島第一原子力発電所事故後、放射線被ばく量の安全値が不明確であったこともあり、農産物、食品、工業製品の販売不振や輸出停止が被災地だけでなく、全国で起きた。また全国の観光業が打撃を受け、日本政府観光局によると、2011年の来日外国人観光客数は前年より27.8%減った。
 風評被害に対する法制では、違法性のあるデマや噂に対し、刑法233条「信用毀損(きそん)及び業務妨害罪」が適用される。相場変動などを目的とした「風説の流布」に対しては、金融商品取引法に基づき、10年以下の懲役もしくは1000万円以下の罰金に処される。また地方自治体独自の条例としては、産業廃棄物処理施設のある香川県直島(なおしま)町が2000年に「風評被害対策条例」を制定。同町で事業活動をする企業などが風評被害を受けた際には、被害の範囲内で風評被害対策給付金が支給される。[編集部]

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