忉利天(読み)とうりてん

精選版 日本国語大辞典 「忉利天」の意味・読み・例文・類語

とうり‐てん タウリ‥【忉利天】

〘名〙 (trāyastriṃśa の音訳三十三天と訳される) 仏語欲界六天の第二。須彌山(しゅみせん)頂上にあるという帝釈天のいる天界帝釈天が住む殊勝殿のある中央善見城喜見城)をめぐって四方それぞれ八天があるので、三十三天といい、その他、四園や市場などがあるという。忉利
霊異記(810‐824)中「花を売る女人は、忉利天に生まれ」
往生要集(984‐985)大文一「如彼忉利天、雖快楽無一レ極、臨命終時、五衰相現」 〔無量寿経‐上〕

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デジタル大辞泉 「忉利天」の意味・読み・例文・類語

とうり‐てん〔タウリ‐〕【×忉利天】

《〈梵〉Trāyastriṃśaの音写六欲天の第二。須弥山しゅみせんの頂に位置し、閻浮提えんぶだいの上にある天界。中央の喜見城に帝釈たいしゃく天が住み、四方の峰に八天があるので、三十三天ともいう。

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改訂新版 世界大百科事典 「忉利天」の意味・わかりやすい解説

忉利天 (とうりてん)

仏教の世界観に現れる天界の一種。忉利はサンスクリットのトラーヤストリンシャTrāyastriṃśa(あるいはその俗語)の音訳。三十三天と意訳する。須弥山(しゆみせん)の頂上には,帝釈天(インドラ)を統領とする33種の神が住んでいる。中央に帝釈天,四方に各8天がいるので,合計33天となる。殊勝殿や善法堂をはじめ数々の立派な建物,庭園,香樹などを備え,一種の楽園として描かれている。釈迦の母が死後ここに生まれたため,釈迦が彼女に説法するため一時ここに昇り,帰りに三道宝階によって地上へ降ったといわれる。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「忉利天」の意味・わかりやすい解説

忉利天
とうりてん

仏教世界観における天の一つ。忉利はサンスクリット語トラーヤストゥリンシャTrāyastriśaの音訳語の略称。原語は「33」、すなわち「33種の天(または天神)からなる世界」を意味し、「三十三天」と意訳される。須弥山(しゅみせん)の頂上にあり、その東西南北にそれぞれ八つの城、中央に善見城(ぜんけんじょう)、合計33の城を有す。善見城中の殊勝殿(しゅしょうでん)には三十三天の首領である帝釈(たいしゃく)天が住む。この天は楼閣(ろうかく)、苑林(おんりん)、香樹(こうじゅ)に満ち、一種の楽園であり、欲界に属し、性の交わりの享受がある。釈迦(しゃか)の母は死後ここに生まれ、釈迦が彼女に説法するためにここを訪れたという。

[定方 晟]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「忉利天」の意味・わかりやすい解説

忉利天
とうりてん
Trāyastriṃśa

仏教の宇宙観にある天上界の一つ。三十三天とも訳される。欲界(→三界)の六天の第2にあたるところ。須弥山(スメール山)の頂上にある天で,統領であるインドラ(帝釈天)が中央にいる。頂上の四方に峰があって,それぞれに八天がいるから合わせて三十三天となる。その天人の寿命は,人間の 100年を一日一夜としたときの 1000年であるという。

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